スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

5月, 2023の投稿を表示しています

忍びの旗

フィクションとはいえ武田、北条、徳川と続く一人の甲賀忍者の話はドラマチックだ。とりわけ末期の北条一族について知ることができる作品はそう多くはないだろう。抜け忍となることを厭わず、実は仇であった義父を守る男の生き様は600頁の長編でも描ききれない人生の教訓を味あわせてくれる。(322/1000)

大阪から来た若者

立ち飲み酒場で友達と飲んでいると、隣席の若い男がカウンターに突っ伏している。聞けば二人は大阪から来たそうで、今朝関空で北海道行きの飛行機に乗り遅れ、諦めきれず車で名古屋まで来たという。なんとも杜撰な旅だが、31歳の若さを楽しんでいると言えなくもない。結局3時から8時過ぎまで一緒に飲んで慰めたのだった。

なお孫は打席に立たなかった

将来は野球をやらせたいと願うジジ馬鹿で、孫をドームへ連れて行ってプロ野球観戦をした。4歳ではいまいち野球を楽しむには早かったが、目の前で繰り広げられたドラゴンズのサヨナラ勝ちの熱狂は十分伝わっただろう。応援グッズを叩いたり、一緒にグランドに降りて駆け回ったりする孫の姿はジージにとって大谷と同じ価値だ。

姫神

厩戸皇子の時代にも関心が向かって、必然的に遣隋使と宗像一族の物語も興味深く読めるはずだったが、主人公の女性には役回りが重すぎた。小説のキャラクター配置というものは難しいが重要だ。池波正太郎は事実を描かなくとも事実にするのが小説だと語っていたがその通りだろう。(321/1000)

家康のどうする

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、か。音楽イベントが雨天順延となったのは残念だったが、学生時代のサークルOBの繋がりが増えたり、駅再開発メンバーとも接点が生まれた。地元出身の歌手とも連絡がとれたし、音楽活動をする組織ともコラボできるかもしれない。不本意な局面に遭遇しても、それが新たな出逢いを生むものだ。

幕末遊撃隊

幕末というと勝や龍馬、慶喜、西郷などなど動乱の立役者ばかりが作品を形作るが、伊庭八郎という剣豪の貫いた私心のない27年の生涯も実に面白い。幕臣としてどう己の矜持を貫き通すか、現代のサラリーマンであっても同じ葛藤に身を置くことはあるだろう。昔の日本人にはそういう魂が受け継がれてきたことを思うと、軽薄な現代がなんとも嘆かわしい。(320/1000)

右脳から出たマコト

市内の駅再開発プロジェクトのメンバーに参加して、所属グループだけで個別にミーティングをした。一緒に話を聞きたいと加わった芸大の女学生がその場でサラサラとメンバーの似顔絵を描いてくれた。左脳より右脳を使う必要を説いたら、彼女の名前がウノさんだった。右脳にはやはり敵わない。

スパイ武士道

人間の世界というものは、いかなる場合にも[相対]の世界なので、白と黒があり、善と悪があり、富と貧があり、男と女がある。人間というものは中年、老年になっても堕落の機会にのりやすいものだし、そして若いときのそれよりも却って始末が悪い。といった池波の人生観に頷く長編だ。公儀隠密の数奇な運命に酔えて一日で読了できる。(319/1000)

災い転じて

公園管理側のミスでダブルブッキングとなって、原状回復を断念して譲ったウェディングパーティを見学に行った。会場のイベント業者に素性を明かすと、日程譲渡について感謝の言葉をいただいた上に、目的を共有する相手だとわかった。ならば一緒にコラボして共催もできたかもしれず、今後なにか協力してイベントをやれるかもしれないとなった。腹立たしい人のミスも前向きに捉えることの大切さを改めて知る思いだ。

侠客 (上)(下)

幡随院長兵衛という名は歌舞伎や講談で耳にはしても何をどうした人なのかはまったく知らなかった。父の仇として狂気の唐津藩主一行の行列に単身立ち向かって本懐を遂げたり、その後は江戸の街を束ねる人足屋の頭領として奉仕に身を捧げる。盟友であった水野十郎左衛門の元で非業の死を遂げる最期はたまらない。よくぞこの小説を書いてくれたと感謝したい。 (318/1000)

十三の海鳴り

前作に引き摺られて、南北朝時代前夜の東北を支配した安藤一族の話に目を向けた。荒唐無稽な宮家一族の呪術や官能小説そこのけのくだりも散りばめられ飽きずに読める500頁。その代わり読後感は呆れるほど乏しい。せっかくの題材がもったいないと言える。(317/1000)

一年生の死生観

縄文人は生と死は循環しているという死生観を持っていたそうだ。土偶に妊婦のような形のものが多いのも出産を愛でる故ともいう。スクールガードで一年生に付き添いながら聞くともなしに聞こえてきた子供同士の会話は、「人間は死なないよ、魂になって生まれ変わるんだ」という無邪気な真理だ。生まれ変わったばかりの彼等がいうのだから間違いないのだろう。

あたまおしりゲームII

昨日バンドメンバーの離脱を嘆いたばかりで恐縮だが、結局当該メンバーと和解して元の鞘に収まった。反省すべき点は少なくないが、この歳になって頑固一徹では周囲から友人が居なくなると恐れ入るばかりだ。「あめふってじかたまる」8字ゲットだ。

あたまおしりゲーム

先日お目にかかった和尚も言ってたが、音楽関係者というのはおしなべて常識がないそうだ。音楽に熱心になるあまり、個人プレーに走ろうとする。そういう連中を集めてイベントを企画する立場からすると、これほど厄介なことはない。3年続いた我らのバンドもついに一人離脱することになった。「さるものはおわず」6点ゲットだ。

迷宮の月

はたして古代遣唐使の時代の物語に退屈はしまいかと半信半疑で読み進めるうちに、則天武后の治世に対等の国交回復が実現できるのかという外交課題に惹きつけられる。全権を担った帰化人粟田真人の人間的魅力に加え、最後の最後に武后の代わりに娘の太平公主が囁いた秘密がエピローグに華を添える。(316/1000)

口で描いた桜図

地元に音楽文化の花を咲かせる〜共通の理念を掲げたNPO法人の若い夫妻を地元のお寺のご住職に引き合わせた。禅寺のこのご住職は死線を彷徨う病気を何度も乗り越えてこられた中で、いかに他者から多くのものを与えられてきたのかに気づいて、今では様々な分野で奉仕に力を注ぐ。本堂の床の間には口筆画家の南正文の絵が飾られてあり、その圧巻の迫力に言葉を失う。己しか見えない周囲の人間がなんと多いことよ。

You are not alone

さんざん迷った挙句、野外コンサートは順延とした。暗然たる思いを抱えて淡々と関係者に連絡していると、当初順延日には参加できないと言っていたバンドがメンバーを欠いた状態でも出演してくれることになったり、予定の入っていたプロが日程調整してくれると申し出てくれた。開催会場に順延を報告に行くと手厚い励ましまで受け、帰り道この曲を聴きながら自然に涙が流れた。

団長の思い

雨予想なのに野外コンサートを決行するのは、音響機材にも悪影響を及ぼすだの、観客も少ないだのとわかりきったことをあれこれ箴言された。それでも一縷の望みをかけて、当日朝まで天候状況の推移を見守りたいと粘っている。順延すれば厚意で無料出演してくれるプロの方々にも申し訳ないし、日程が合わず大幅に縮小開催となる事情も重なる。まさに断腸の思いである。

回天の門 (上)(下)

映画やら小説やらでこんなにも誤解されている男はいないだろう。手に取るのも憚れる思いを断ち切って、虚心坦懐にこの男の生き様を辿ってみた。新撰組のことも、遊蕩の伝説さえどうやら一方的な偏見だとわかる。純粋に幕末を駆け抜けた清河八郎という男のことをよくぞ書き残してくれたものだ。(315/1000)

黄金の時間

小学一年生というのはまだまだ幼稚園児と変わらないのだろう。下校に付き添って家まで送り届けるのだが、子供の方から手を繋いできたり、あれこれ話をしてくれる。なかには「う◯こ」という子もいたりして、我慢させて歩かせる。無事に送り届けるまでの時間がなんとも楽しい時間だ。おっと、昼寝せずにそろそろ迎えに行く準備をするか。

ダメだす

まったく天候はどうなるやら予想がつかない。土曜日雨模様だったのが後倒しになり日曜日が全面雨模様ではお手上げだ。通常の天気予報では先が読めないので、とうとう天気図と睨めっこする毎日となった。これだけ高気圧に覆われていれば大丈夫だろうという気もするし、チベット高気圧の動向次第では当てにはならぬ。アメダスにダメ出しされるのはたまらない。

市塵 (上)(下)

藤沢周平62歳の時の作品だそうだ。新井白石の名は知っていても、間部詮房や英邁と讃えらる六代将軍家宣との関わりを通じたその生涯を初めて知ることができた。大人の静かな物語、とあとがきにあるように、白石の学問を現実世界に活かそうとする淡々としながらも毅然とした生き様は胸を打つ。家宣が死を迎える間際の遣りとりは涙を誘う。(314/1000)

故きを温ねて新しきを知らず

自治会の会合に参加したところ、「昔のことを持ち出すのがけしからんというならワシは金輪際手を引く」と80歳に近い高齢者が激高した。今を語った同輩がやり込められる姿は気の毒だったが、今を知ろうとしない老人の頑なさは哀れだ。故きは新しきを知るために温ねるのであって、踏襲することを是とするものではない。変化のない既成概念は障碍だろう。

小指の思い出

細君の実家に集まった孫娘が喜びのあまり飛び跳ね、誤って転んで着地したところに運悪く小生の小指があった。激痛に思わず唸り、指先に血が滲む。細君はじめ孫の両親ほか周囲が驚いて何があったと尋ねるが原因は言えない。どうやら骨折は免れたようだが痛みは続く。傍で落ち込む孫娘に声をかけるわけにもいかない。指先より痛む祖父の心だった。

編笠十兵衛 (上)(下)

さすが池波正太郎だ。柳生十兵衛の孫として生まれ、幕府隠密の使命を帯びた月森十兵衛と赤穂浪士の討入りを重ね合わせて物語が進む。喧嘩両成敗の不文律を犯した将軍綱吉と幕閣の非理を、浪士に討入りを成就させることで糺すのが彼と彼が使える中根家の役目だ。手に汗握る決闘シーンあり、男女の機微ありの痛快活劇だ。(313/1000)

読書コーナーの移住先

いまだに新聞など読んでいるのかと読者諸兄に失笑されるかもしれぬが、ゴールデンウイーク中の新聞紙面数が薄いのに愕然とする。新聞社も働き方改革しないと社員が集まらなくなっているのだろう。腹くちずネット記事に目を向ければ、センセーショナルな切り取り見出しばかりで、オーサーと呼ばれるらしい著述家の意見はどれも偏った内容ばかりだ。小欄もそろそろ店仕舞いする頃合いか。

弦徹夜

いよいよ本番が近づいてくるのにどうにもギターの音色がイマイチだ。下手くそな弾き方だとは充分自覚しているがそれにしても弾いていて楽しくない。そういえば前回12月からギターの弦を交換していない。半年も経ったのだから遅きに失しているくらいだが、交換作業に取り掛かったものの久しぶりすぎて2弦も反故にしてしまった。徹夜の作業にならなかっただけでよしとしよう。 。

学校のお天気

結論からいえば、結局この東進ハイスクールの「学校のお天気」はよくわからない。10日も先の天候となると、朝見た天気が夜にはまったく逆になっている。日々それが繰り返されるわけだから、一喜一憂するのがアホらしくなる。なぜそれに早く気づかなかったのだろうと、我ながら情け無い。気象予報士試験の合格率は5%だそうだが、この予備校の東大進学率と比較したいものだ。

65歳の組織論

地元の駅前再開発プロジェクトのメンバーに参加申込みした。音楽会を企画開催するのさえメンバーとの軋轢に頭を悩ませるのに、わざわざ厄介な集まりに首を突っ込まなくてもよさそうなものだが、ポイントは報酬の有無だ。収入を対価に公的地位で活動するのと、無報酬で貢献するのとでは自由の価値が違う。65歳、自由への道だ。

男の値打ち

嫁に行った娘がわれわれと移動中に不可抗力で自家用車に傷をつけた。婿に叱られると落ち込む娘。夕食をともにするため娘夫婦の家まで一緒に行って、破損箇所を示しながら婿に事情を必死に説いた。気が強い娘が婿に気を遣う姿も意外だったが、起きたことは仕方がない、大きな事故にならずによかったと娘を慰める婿を見直したのだった。

三体

まさか中国人の書いたSFを読むとは思いもよらなかった。物理学、天文学、宇宙理論について多少の予備知識がないと面食らう内容だが、下手な日本人作家が書いたSFより抜群に面白い。太陽が3個出てきたり、11次元の世界から3次元を覗いたりと想像力は無限に広がる。恐るべし中国文学。(312/1000)