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5月, 2021の投稿を表示しています

霖雨

行儀が蹲踞高大に過ぎる、誇張矜伐に努める、諸事に秘密閉戸する、門地の高下を論ずる、先覚に因循する、文盲不学である、という六つの弊害を広瀬淡窓は幕府に献策したそうだが、昨年来の政府や役人の有りようはいくつも該当しまいか。志を高くして霖雨にあっても義憤に惑わず、弱い存在である人の心に解を求める。淡々と生きることの素晴らしさを教えてくれる。

墨龍賦

青紅葉が見てみたいと数年前に京都建仁寺を訪れたことがある。まさかこの書が建仁寺で見た雲龍図に繋がっているとは奇縁というものだ。海北友松なる絵師がいたことも、また彼が明智光秀、斉藤内蔵助、安国寺恵瓊とも深い関わりがあったことも知らなかった。「美濃譲り証」なる文書の存在が明智等を突き動かしたという新説も実におもしろい。

蒼天見ゆ

蒼天を仰ぎ人生の試練を乗り越える心の有り様を悟ってひたむきに生きる主人公が物語の前半であっけなく凶刃に斃れる。あれあれこの先はどうなるのだろうと読み進むうちに、主人公の一子にストーリーの焦点が移り驚くべき展開となる。「雨過天青雲破処」を親子二世で具現化していたのだと読後に知ることになる。

鬼神の如く

栗山大膳は黒田如水、長政に仕えたあの栗山善助の子だそうだ。どおりで深慮遠謀はあながち小説の虚構ばかりとも言えない。将軍家光に敢えて能の演目「調伏曽我」を披露しておのれを罰しやすくせしめんとする場面などは、保身しか頭にない近頃の世相を嘲る如くだ。能の「西行桜」で「花見んと群れつつ人の来るのみぞあたら桜の咎にはありける」と詠んだ西行と桜の精とのやりとりがまた味わいがある。

恋するイタリアン

ほぼ一年間代わる代わる食べ続けた焼きそばとイタリアンだけあって、スパゲッティが恋しかった。マツコの番組でナポリタン特集を見たもんだから、今日は細君と母を誘ってイタリアンを食べに行った。イタリアンとはナポリタンの西日本での呼び名だそうで、とりわけ名古屋の喫茶ユキ発祥のは、鉄板を板に見立てたので「イタ」リアンとなったそうな。来週は本家へ行ってみるか。

太極拳で大局観

相手の力を利用して相手を動かすという力学が興味深い。興味深さが高じるとついやってみたくなる。人から借りた太極拳24形式のDVDをもとに同じ動きをしてみると、これがまたじわっと汗が出るほどキツい連続技だ。無駄な力を抜いて水の流れの如く身体を動かす、老人なればこそのヒューマンスキルともいえるが連続技で繰り出すのは骨が折れる。

サザエさん後遺症

日曜日の夜になるとなぜか気が重くなり、月曜日の朝起きるといつの間にか臨戦態勢モードにスイッチが入っている。サザエさんや大河ドラマを見ると無意識に反応してしまう後遺症に違いない。せっかく臨戦態勢モードにしたのだから、なにか有効活用しようと血圧を測った。昼間高くなってきていた血圧が朝測ると低かったのは身体はもう後遺症ではないということか。

ジーニー気分

ウェイトコントロールのためにジムでも通おうかなんて考えると、時間や会費に縛られる息苦しさを感じて思いとどまる。好きな時に好きなだけ好きなことができる幸せはもう手放したくない。そんなことじゃ何事も極められず継続しないぞと後ろ指さされてもそれでいい年代なのだ。ランプから出られて自由を得たジーニーの気持ちがよくわかる。

鼻出しだった鞍馬天狗

我が国でコロナが爆発的に増えない一因はマスクをまじめにしているからだと言われるが、中東の女性に限っていえばどうなんだろう。鼻や口はおろか頭まですっぽり隠しているのだから、きっと女性の罹患率は低いに違いない。幕末には鞍馬天狗も趣旨は違うが頭巾を戴いて活躍したと小説化されている。いっそ夫婦でこの出で立ちでいくか。

ゴルフ場の先住民

ゴルフ好きの医者に全ホール歩いて回れと言われて素直に20,000歩歩いてラウンドした。一打一打歩く間に次に打つクラブは何がいいか、どう打てばいいのかを考える。考えた通りにいけばいいのだが世の中そうはうまくいかない。打つ瞬間になるとどうもビビるようだ。もしかしてここにはこわ〜い動物が住んでいるのかもしれない。

緊急体重事態宣言

ズボンのサイズが合わなくなって自覚はしていたものの現実を見るのが怖くて体重計には乗らずにいた。人間ドックで仕方なく乗らされてみるとなんと平時から7キロオーバー。医師に聞かれて日本酒の習慣を白状したら運動不足を指摘された。数日前から晩酌を控えたが時すでに遅し。血圧の上昇も発覚したので緊急事態宣言中は晩酌も休業だ。

Société des ambianceurs et des personnes élégantes

梅雨入りしたばかりなのにブランド品の夏物がバーゲン?18,000円もするジャケットがなんと7,000円、半額以下だ。定価で買った人が見たら怒るだろうが買ってしまった。前年モデルの在庫は売れなければ仕入れ値が利益を押し上げ課税対象となるから仕入れ値以下でも処分した方がいいという理屈だ。なんだか割りの合わない会計理論だが、定年過ぎた男にも当てはまるのが侘しい。

ボツムダ宣言

無条件降伏か条件付き降伏かで結論を先送りしたために広島と長崎に原爆が投下されてしまった。投下されてようやく受諾したポツダム宣言ではないが、緊急事態宣言が発せられてもオリンピックを中止できない国の事情や勢力とはいったいなんだろう。インド株が蔓延してより悲惨な結果を招いてからでは遅い。結論の先送りがワクチン普及の推進力だとは到底思えない。

夫婦珈琲物語

昼食が夫婦二人分だけでいい時は細君を誘って外食だ。仕事をやめ夫婦で過ごす時間が日常となれば家事負担の軽減からも夫として当然の責務だろう。外食を終えホッとして帰宅しコーヒーを淹れていると、なにやら殺気を感じた。いっしょにコーヒー飲むかいと聞いてくれると優しいわよねと細君。あーそうだった、用意された彼女のカップに豆を入れ「心を込めて淹れさせていただきます」と答えたのであった。

で、で、出前館。

緊急事態宣言で常連の焼き鳥屋で酒を飲むこともできなくなり、今夜は倅一推しの出前館で宅配を頼んだ。バーガーズカフェフクヨシのハンバーグが美味しいというので頼んだところ、これがまた出前?宅配?と首を傾げたくなるほどの美味だ。ハンバーグだけじゃない、ローストビーフがこれまた絶品だ。出前館恐るべし、コロナを逆手にとって生き残る商売とはこういうものかもしれない。

劇落ちくん

思い切って買い揃えた草刈り機を外置きしていたら刈り刃をはじめ先端部が雨で錆びてしまっていた。刃はいずれ取り替えるものだからよしとして、先端部の鯖をどう落とそうかと悩んでいたら細君が「劇落ちくん」なるものを持ち出してきた。百均で買える代物だそうだがあっという間にピカピカにしてしまったではないか。彼のプロフィールを拝借しておこう。 名前 【激落ちくん】 出身地 ドイツ 住んでいる場所 日本 誕生日 1999年11月(永遠の10歳) 言語 日本語 性別 男の子 性格 元気いっぱい、正義の味方 特技 変わり身の術、分身の術 チャームポイント キリッとした眉毛

ありナミンオリンピック

やはり1984年のロサンゼルスからオリンピックは商業主義に陥ったようだ。政治介入を招く税金に頼らず、財源を①放映権料②スポンサー協賛金③入場料に求めて成功を収めて以来ビジネスと化した。今や想定外のパンデミック下で利権構造は中止の足枷になっている。利権と決別できないのならいっそ開催国方式をやめて世界中で分散開催すればいいじゃないか。

コロナジレンマ

お互い協力する方が協力しないよりもよい結果 になる(パレート均衡)ことが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる(ナッシュ均衡)のが囚人のジレンマ。ワクチンをめぐる一連の騒ぎやコロナにおける休業命令などはその際たるものだろう。過剰な生産と消費を貪る新資本主義における格差がナッシュ均衡だとしたら、われわれはジレンマを感じない囚われ人かもしれない。

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関

運転免許証の更新に警察まで行ってきた。なんとか5年間無事故無違反を通してゴールドを獲得したのはいいが、写真を撮る段になってはたと気がついた。しまった、丸坊主にしてしまっていたではないか。百人一首の坊主めくりには12人の僧侶が登場するが、有名な蝉丸もその一人かと思ったらそうでない。人生の無常を詠んだ蝉丸に倣えば見た目の坊主で世間を欺くのも一興である。

テレじゃないし

出社比率を7割削減するにはテレワークだと政府に言われてやるもんじゃないだろう。そもそも生産性の低いこの国の産業界が自ら在宅勤務を志向してこなかったことがコロナで露呈したにすぎない。わざわざ出社しなければできないような、組織や仕事のしかたをこの際根本から見直さねばなるまい。ワクチンで押し寄せる高齢者やズルする経営者には現役からサッサと退場していただいて。

優柔不断になるための10

国会審議を見ててつくづく呆れるのは菅の優柔不断さだ。感染爆発していたらオリンピックをやるのかやらないのかと野党から問われても、感染爆発しないようにコロナ対策をすると繰り返すばかり。優柔不断に陥らないための10のしないことをいくつやっているのやら。記者会見で質問をかわすだけで済んだ官房長官のくせが抜けきれないようだ。

ははーの日

近所のケーキ屋の前を車で通りかかるとなにやら駐車場が車で溢れている。なんでかなと細君に尋ねると「母の日だからよ」と言われてしまった。いやー参った、なんにも用意してないぞ、待てよそう言えば昨日細君が養老軒のフルーツ大福を買いワインを仕入れていたのはそのためだったのかと思い当たった。気の利かない夫であることも見通している彼女に改めて感謝である。

踏み石か置き石か

ジェイソン・ボーン四部作や新作ドラマのタイトルにもなっているトレッドストーンというのは「踏み石」と訳される。アメリカに日本庭園の踏み石があるかは怪しいところだが、緊急事態宣言の出し入れは踏み石のようだ。酒屋や酒場に石を置き飛び越えさせて、てっぺんの五輪の傘から取って返す「かかし」遊びにも似ている。踏み石や置き石から時勢を俯瞰してみたくなる。

お化けにゃ休業もなんにもない

まったくどうなっとるんじゃこの国は。酒場でタバコも吸っちゃいかんときたら、今度は酒もいかんじゃと。酒を飲むと大声出して飛沫感染するとかいうが、時下の感染者拡大は酒場で発生してるもんじゃなかろう。検査もしない、入国制限もせずに感染拡大を招いている妖怪は政府と知事だろう。墓場から酒場鬼太郎に改姓してあやつらを退治させてやりたいもんじゃ。

爺さんのHIASOBI

YOASOBIってなんだ?わけがわからんなとスルーしていたら、このコンポーザーのayaseという若者がすごい。ご覧になられた方もみえるだろうが、彼は中古のPCを買ってヘッドホン直挿しでDAW(Digital Audio Workstation)を駆使して音楽制作したというから驚きだ。今時の若者恐るべしだ。60過ぎた爺さんでも明日から勉強してみたくなる。また細君の呆れ顔が見えるが。

飲兵衛も知らなかった缶ビールの世界

缶ビールを一缶あけて、もう一缶飲もうと冷蔵庫から取り出したらあまり飲まないアサヒのスパードライだ。まあいいやと缶の蓋に手をかけると蓋が全部とれて泡が見えるじゃないか。細君に聞くとこれが人気で今は手に入らない生ジョッキ缶だそうだ。まさに店で飲む生ビールの味わいだ。なんでも6月にならなきゃ次の出荷はないそうで、こんな発明をしてくれたビール会社の担当者に拍手だ。

100点満点中本丸5点

タイムマシーン郵便その3は意外に早く訪れた。子供が風邪をひいたせいで明治村に行けなかった次女親子と名古屋城へ出かけた。10年前の手紙を読んだ次女の時間旅行に比べ、多額の費用をかけて造営された本丸御殿には時間を旅させる力は残念ながらないようだ。落書きや破損を恐れて学芸員が数メートル単位で立哨し監視する様は興醒めだ。こんなことでは木造天守閣の復元も支持されまい。

タイムマシーン郵便その2

長女、次女から細君宛に届いた10年前の手紙をきっかけに、今日は長女親子と一緒に明治村を訪れた。京都中井酒造の酒蔵で酒を一献頼むと、ビール党の細君まで付き合ってくれた。二人揃って郵便局で10年後の子供たち宛に手紙も認めた。10年後果たして生きているのだろうかと、率直な文章にならざるを得なかったのは酒に酔ったせいではなかろう。

スマホ休暇

気がついてみると今日はスマホを朝から一度も見ていなかった。スマホを見る時間がなかったわけではなく、LINEのやりとりに疲れたせいだ。一日スマホを見ないことが、週に一度酒を断つ休肝日に似て健全な精神の回復をもたらしてくれたような気がする。持て余す時間をネットに依存しない方法で実りあるものにする、自宅待機のゴールデンウィークなればこそか。

晴れ男大綬章

晴れ男•晴れ女検定の認定証がメールで届いた。「誰かのために晴れを届ける人であれ」が検定のコンセプトだが、あれほど集中して開催したイベントは断続的な雨に祟られてすでに終わっている。何を今更だが、認定証を手にしてみると晴れ男は単に天候を晴れに導くことが使命ではなく、晴天だろうが雨が降ろうが誰かの心を晴れやかにできたらそれでよいのだ。晴れ男、旭日大綬章より価値ありだ。

妻は城主、夫は家臣。

花白温泉で温泉に浸かり、岩村の「かめや」でカステラを買ったあと 、そういえばここには銘酒「女城主」があったなと思い出し酒蔵を訪ねた。実在した「おつやの方」にちなんで名付けられた著名な酒だが、我が家の安穏も女城主である細君のおかげだなと思いながら買い求めた。代金を支払うときの細君がいつになく気前よかったのは気のせいだろうか。