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投稿

エデュケーション

育てるのではない「育む」のが教育だと言っていたのが亡父だった。エデュケイトという言葉も「(才能を)引き出す」という意味だと理解して社員研修の指針にしていたのは自分だ。カスハラなぞといって従業員を保護しすぎると、サービス業の質は低下する一方だろう。白馬の騎士気取りの経営者や社員は願い下げだ。(424/1000)
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虚空遍歴 (上)(下)

死ぬことは、その人間が生きていたという事実を証明することであり、その生涯を完成させるものだ。と主人公中藤仲也に語らせ、新しい芸道の道を創造させるためにさまざまな人間の喜怒哀楽を味合わせる作者のこの物語に対する執着の凄さを目の当たりに感じずにはいられなくなる。上下巻全700頁に及ぶ大作だ。(423/1000)

襷がけの二人

数奇な運命で結び付けられた女性ふたり。主人と女中の立場が大戦後逆転するのだが、通じ合う心の触れ合いは変わらない。こういう小説もしみじみとして実にいいものである。(422/1000)

父がしたこと

なんという本だ。父がしたことの事情は明かされないまま、しかし父のしたことの偉大さ、潔さが読者に伝わる。全編に人はどうあるべきかについて珠玉の至言がこれでもかと言うほど散りばめられている。「武士が護るべきは主君か、家族か」などと帯に記されているが、そんな安直なテーマでは決してない。実に重厚かつ深奥な名作である。(421/1000)

うまい日本酒をつくる人たち

あのNo.6の新政、島根の誉池月、燗酒が旨い丹澤山、地元蓬莱泉、秋田日の丸醸造、佐渡ヶ島北雪、吉野の花巴、千葉県アフス、海と舟屋が迫る京都伊根満開、大信州と銘酒と蔵元のオンパレードだ。流行り物の磨きに拘る大吟醸などに惑わされぬ信念が頼もしい。飲まずには居られなくなるやばい本だ。(420/1000)

極楽征夷大将軍

南北朝時代もしくは足利幕府の成立というのは、戦国時代や江戸時代に比べて意外と知られていないものだ。2段組500頁の大部を読み終えれば、戦国武将の来歴や源氏の棟梁の由来もよくわかる。尊氏の凡庸さと弟の直義、高師直の実像もその後の歴史でいかに歪められて伝わっていたのかがよくわかる。歴史とは不思議なものだ。(419/1000)

火山に馳す

田沼意次の時代に発生した浅間山大噴火。1500人以上の犠牲者を出し、天明の大飢饉の一因になったとも言われている。昭和54年の発掘で、寺の石段下が掘り起こされ、現れた35段の中に老婆を背負った嫁らしき女性の骨が見つかったという。内閣府防災ページにも紹介されているが、災厄に対する役人の向き合い方が問われる作品である。(418/1000)