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春かずら

読書評を目にして手にした一冊だったが、400ページを超えたあたりからやや冗長すぎる結末のくだりが面倒だった。随所に人生の教訓を読み取らせてくれる一方、作者ならではか女性の描き方に違和感があるのはやむを得ないかもしれない。なかなか良書に巡り会えないと感じるのは、重ねた年齢のせいか?(546/1000)
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マテニ10号 (上)(下)

北朝鮮を『地上の楽園』と偽装して、何人もの在日コリアンを不幸な国の犠牲にした物語を読んだ後だけだけに、戦前の日本統治下で虐げられた三代にわたる鉄道員一族の話も無知なるが故に強烈な読後感を残してくれた。作者は異なるが、こうした一連の作品が読み繋がれることが、今日尚繰り返される民族の争いや偏狭な対立に一石を投じてくれないものだろうか。(545/1000)

西行

小林秀雄の「無常と云ふこと」に収められた「西行」を読み返したのは5年前だったが、今また今度は白洲正子による「西行」に触れてみて、西行の人間としての奥深さや魅力に改めて思い至る。宮中における歌人との交際や保元、平治の乱、源平合戦、承久の変と移り変わる乱世とも隔絶して自らが求める数奇の道を全うした一生に学ぶべき点は少なくない。(544/1000)

地上の楽園

右傾化しつつあるこの国で、いつ発禁処分になっても不思議ではないほど強烈な歴史上の告発書だ。まだまだ日常的に差別用語が使われていた昭和30年代に生まれた我々にとって、かくも非人道的な行為が国家としても、国民としても見過ごされ蓋を被せられていた事実に愕然とする。人間とはほとほと救いようのない存在なのだろうか。(543/1000)

鹽津城

なんとも不思議なSF小説である。全6編、理解できるものもあれば、意図がよくわからない内容のものもある。表題作に関して言えば、過去と未来が交錯して戸惑いはするものの、津波に襲われた我が国の悲しい体験を思うと、はるか500年先の未来に今世紀のそれがどう伝わるのか想像を迫られる。(542/1000)

粒と棘

戦後生まれで自分より若い作家なのに、よくぞここまで戦後間もない時期の日本社会の闇と歪みを描き出してくれたものだと驚く。何の因果関係もない6編の小作かと読み進んでいくうちに、それらが全て繋がっていく構成に舌を巻く。今の日本はやっぱり平和なんだなと改めて思わざるを得ない。(541/1000)

警察医の戒律

かなり初期の作品なのだろうか。「テミスの不確かな法廷」に比べるとかなりストーリー展開に気負いというか無理さが窺えて、なかなか読み進むのに難渋する。法医学者という職業にスポットを当てた視点は斬新だが、今再び描き直すとしたら、もう少し違った作品になったかもしれない。(540/1000)