西行 4月 13, 2026 小林秀雄の「無常と云ふこと」に収められた「西行」を読み返したのは5年前だったが、今また今度は白洲正子による「西行」に触れてみて、西行の人間としての奥深さや魅力に改めて思い至る。宮中における歌人との交際や保元、平治の乱、源平合戦、承久の変と移り変わる乱世とも隔絶して自らが求める数奇の道を全うした一生に学ぶべき点は少なくない。(544/1000) 続きを読む
地上の楽園 4月 10, 2026 右傾化しつつあるこの国で、いつ発禁処分になっても不思議ではないほど強烈な歴史上の告発書だ。まだまだ日常的に差別用語が使われていた昭和30年代に生まれた我々にとって、かくも非人道的な行為が国家としても、国民としても見過ごされ蓋を被せられていた事実に愕然とする。人間とはほとほと救いようのない存在なのだろうか。(543/1000) 続きを読む
鹽津城 4月 04, 2026 なんとも不思議なSF小説である。全6編、理解できるものもあれば、意図がよくわからない内容のものもある。表題作に関して言えば、過去と未来が交錯して戸惑いはするものの、津波に襲われた我が国の悲しい体験を思うと、はるか500年先の未来に今世紀のそれがどう伝わるのか想像を迫られる。(542/1000) 続きを読む
粒と棘 3月 30, 2026 戦後生まれで自分より若い作家なのに、よくぞここまで戦後間もない時期の日本社会の闇と歪みを描き出してくれたものだと驚く。何の因果関係もない6編の小作かと読み進んでいくうちに、それらが全て繋がっていく構成に舌を巻く。今の日本はやっぱり平和なんだなと改めて思わざるを得ない。(541/1000) 続きを読む
警察医の戒律 3月 11, 2026 かなり初期の作品なのだろうか。「テミスの不確かな法廷」に比べるとかなりストーリー展開に気負いというか無理さが窺えて、なかなか読み進むのに難渋する。法医学者という職業にスポットを当てた視点は斬新だが、今再び描き直すとしたら、もう少し違った作品になったかもしれない。(540/1000) 続きを読む
恋する検事はわきまえない 3月 06, 2026 同じ作者の『テミスの不確かな法廷』に引きづられて手に取った作品だ。検察官物ではあるが、視点はまた異なり登場人物が多彩なのに、繋がりが見えて楽しめる。法治国家という表看板だけでは見失いがちな、現代社会の歪みや問題点をわかりやすく教えてくれる。(539/1000) 続きを読む