深夜特急ノート 旅する力 6月 08, 2026 思えば自分も若い頃、作者ほどではないにしろ国内の遠い地へ一人で旅をしたものだ。「旅には適齢期がある」「自分に不足しているものを知る機会になる」「旅は作るものだ」といった至言がスタンと腑に落ちるのもそういう経験が少しはあったからだろう。古稀を迎える歳になって今更ひとり旅などできないが、そういう気概だけは保ちたいと思わせてくれる一冊だ。(548/1000) 続きを読む
寂しさから290円儲ける方法 6月 05, 2026 ドリアン助川というのは、明川哲也という本名にもかかわらず、書いた詩を「君の詩はくさい」と言われたためだそうだ。岩崎宏美の「許さない」、太田裕美の「道」、ブレッド&バターの「ペガサス」を作詞している。聴いてみると確かにちょっと「くさい」かもしれない。ラジオのパーソナリティの縁でか「人生相談の仕事」しかこなくなったという来歴を知って読むと面白い。(547/1000) 続きを読む
春かずら 5月 18, 2026 読書評を目にして手にした一冊だったが、400ページを超えたあたりからやや冗長すぎる結末のくだりが面倒だった。随所に人生の教訓を読み取らせてくれる一方、作者ならではか女性の描き方に違和感があるのはやむを得ないかもしれない。なかなか良書に巡り会えないと感じるのは、重ねた年齢のせいか?(546/1000) 続きを読む
マテニ10号 (上)(下) 4月 27, 2026 北朝鮮を『地上の楽園』と偽装して、何人もの在日コリアンを不幸な国の犠牲にした物語を読んだ後だけだけに、戦前の日本統治下で虐げられた三代にわたる鉄道員一族の話も無知なるが故に強烈な読後感を残してくれた。作者は異なるが、こうした一連の作品が読み繋がれることが、今日尚繰り返される民族の争いや偏狭な対立に一石を投じてくれないものだろうか。(545/1000) 続きを読む
西行 4月 13, 2026 小林秀雄の「無常と云ふこと」に収められた「西行」を読み返したのは5年前だったが、今また今度は白洲正子による「西行」に触れてみて、西行の人間としての奥深さや魅力に改めて思い至る。宮中における歌人との交際や保元、平治の乱、源平合戦、承久の変と移り変わる乱世とも隔絶して自らが求める数奇の道を全うした一生に学ぶべき点は少なくない。(544/1000) 続きを読む
地上の楽園 4月 10, 2026 右傾化しつつあるこの国で、いつ発禁処分になっても不思議ではないほど強烈な歴史上の告発書だ。まだまだ日常的に差別用語が使われていた昭和30年代に生まれた我々にとって、かくも非人道的な行為が国家としても、国民としても見過ごされ蓋を被せられていた事実に愕然とする。人間とはほとほと救いようのない存在なのだろうか。(543/1000) 続きを読む