砂の器 2月 15, 2026 約40年ぶりにNHK BSで放映された映画を観て原作を読みたくなって借りた。2段組500頁、つまりは1,000頁に及ぶ長編だったが、一気呵成に読了してしまえる圧巻の作品であった。松本清張の筆力に今更ながら驚嘆するほかない。映画では充分に描ききれない細部や、犯行の緻密さ複雑さが原作ならではの迫力で伝わってくる。(534/1000) 続きを読む
軍師秀長 (上)(下) 2月 09, 2026 大河ドラマに触発されて、豊臣秀長にスポットを当てた本が読みたくなった。秀吉を陰で支えた軍師というイメージは更に深まったが、これほどまでに尽くし抜いたのかと知ると、豊臣政権の成立と瓦解はこの人なくしてなかったと思い至る。予備知識として頭に置いておくと今後のドラマの展開もまた違った楽しみ方ができるかもしれない。 (533/1000) 続きを読む
白石城死守 1月 14, 2026 全6編の作品集だが、全てが作者らしい慥かな洞察と温かい視座で描かれている。『菊屋敷』で語られた「子供は養育するのではない。自分が子供から養育されるのだ。それが子育ての根本だ。」との箴言には今更ながら目を開かされる。斎東与茂七。笠折半九郎。浜田治部介。夏目図書。矢押梶之助。黒川志保。全ての主人公に物語が寄り添っている。(532/1000) 続きを読む
殺し屋の営業術 1月 12, 2026 江戸川乱歩賞とは、また気づかない分野だった。時代小説主体の読書の旅にまたひとつ目的地が加わったようで楽しい。流石に評判を呼んだ小説だけに、最後の最後の大どんでん返しが愉快だ。現役時代、営業には一廉の自信を持っていた自分だからそこ、主人公の巧みだが反面ちょっと空虚な営業魂に共感を抱けるところがまた嬉しい。(531/1000) 続きを読む
カナリア恋唄 1月 08, 2026 こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000) 続きを読む
起き姫 1月 04, 2026 もうさすがという他ない。「起き上がり小法師」のことを言うのだそうだが、さまざま苦難に遭遇しても立ち上がる「起き姫」に象徴されるストーリーは圧巻だ。人と人とを紡ぐ主人公の口入れ屋家業が、あたかも本と人とを繋ぐ縁に準えられる気がするのはあながち的外れでもなさそうだ。読書の醍醐味ここにありだ。(529/1000) 続きを読む