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9月, 2023の投稿を表示しています

天下一のへりくつ者

よくもこんなにつまらない本を書いたものだと呆れるしかない。年齢不詳の作者だが、文学賞を受賞しているのが不思議なくらいだ。北条早雲の興した北条家の最期を看取った男の物語とはいえ、その文章、構想力はあまりにも拙すぎて題材が勿体ない。(361/1000)

南冥の雫 満州国演義 (八)

長かったこの小説もあと一巻を残すのみとなった。物語もついに悲惨なインパール作戦にまで到達した。満州を標的にして国内の余剰人口を吸収させ、英米に対抗するために資源確保に迫られ南方に戦線拡大。末期の陸軍内部の異常さには目を覆いたくなる。こういう物語が読み継がれて反省を促すことが現代の我々には求められる。

特攻のメカニズム

数年前に中日新聞に連載され読み継いでいた特集記事が単行本として漸く発刊された。5類に移行されたらされたで形を変えて続くマスク同調圧力、中古車買取会社と損保会社の信じられい癒着。戦後78年経っても綿々と根底に潜み続ける日本人の組織論理。「命令」ではなく「志願」だったと美化される特攻問題を通して日本人の暗部を抉る。(360/1000)

雷の波濤 満州国演義 (七)

まさかハリマオが登場するとは意外だった。昭和30年代生まれの我々にとって彼は最初のヒーローだったかもしれない。谷豊という本名で実在する人物であったことにも驚くが、タイやミャンマーで反英国活動に携わっていたとは思わなかった。七巻まできて、太平洋戦争とは何だったのかに改めて考えさせられる。

父からの手紙

読んでる途中は、そんな馬鹿みたいな遣り取りが日常あるわけないだろうと呆れながら読んでいた。ところが、クライマックスに向かうにつけ予想外の展開となり最後の父からの手紙に思わず涙腺が緩む。作者の構想力に脱帽するばかりだ。 (359/1000)

大地の牙 満州国演義 (六)

関東軍の統帥権干犯を前提にした暴走は止まるところを知らず、遂にノモンハンでロシア軍と交戦。完膚なきまでに叩きのめされる。今後戦争資源を求めて南進が企図されていくのだろう。小澤征爾の父親、李香蘭、岸信介、児玉誉士夫等々著名な人物や巨魁の名も現れてくる。いよいよあと三巻となった。

ご挨拶

定年退職後足掛け4年「ご隠居の西雀荘」としてご愛読いただいてきましたが、寄る年波とともに世の中に対する申し立てにもだんだん疲れてきました。近頃では千冊を目標にして読み進めている読書遍歴のみの更新スペースになりつつあるので、この際タイトルを「ブック・オデッセイ」と改め、読書記録だけにしたいと思います。たまに覗いてくださる読者諸氏には引き続きよろしくお願いします。

灰塵の暦 満州国演義 (五)

第五巻だ。残り四巻まできた。きたのはいいが、なんともはや本巻における南京大虐殺の全容には目を覆いたくなる。ナチスによるユダヤ人虐殺に匹敵するだろう。思想に凝り固まった人間が、組織の論理に突き動かされて残虐行為に走る。この過去をわれわれ後世のものはどう受け継げばよいのだろう。

やまと錦

司馬遼太郎の秘書のような立場にいたというから、きっと文体や構成も似た作家だろうと期待していたが、3作読んでもさほど関心が湧かないのは力量の差か。帝国憲法を起草した井上毅についてはまったく知らなかっが、日清戦争も本来は避けられる戦争ではなかったかという視点で深掘りしてほしかった。(358/1000)

多助の女

この作者2冊目となったが、幕切れは切ないものだった。町火消し多助の颯爽とした活躍に、物語の主人公は彼なのだろうと期待しながら読んでいくと、最期はあっけない。この作者の見事な裏切り方の手法かもしれないと思うと心憎い。(357/1000)

奇貨居くべし 天命篇

とうとう「奇貨居くべし」全五巻を読み終えた。呂不韋の全人生を辿って、人とはいかに生きるべきかを今更ながら知る思いだ。日々いかに努力し、他人の声に耳を傾けるか。人生は終わりのない旅である。

奇貨居くべし 飛翔篇

ついに「奇貨居くべし」というタイトルが文中に現れた。呂不韋が全財産を投げ打ち、秦の皇帝の血脈をひく20人の子から異人という名の子を選んで皇帝の正室に迫る。彼の子が後の始皇帝となる。最終巻第五巻はその完結篇となるのだろう。今更ながら教えられることの多い大作である。

炎の回廊 満洲国演義 (四)

第四巻645頁はさすがに読了するのに時間がかかるが、時局はいよいよ二・二六事件まで差し掛かる。独眼眼帯の敷島次郎がみせる非情さと、それとは裏腹に弱者にかける情けが好対照となって読み手を飽きさせない。あと五巻頑張って読破したいものだ。

剣神 神を斬る

居合いの創始者林崎甚助のその開眼と父の敵討ちまでを描く第一巻だ。余分な説明や描写がなくて読みやすい。仇討ちの本懐を遂げるまでの紙面が足りないのではないかと心配したくなるが、きっちり結末で泣かせてくれる。これなら確かに大河シリーズとして発刊されるのも頷ける。(356/1000)

キャンドルナイト

市内にこんな素晴らしい環境があったんだ。散歩や釣りを楽しむ人、春にはサツキ、初夏には紫陽花が咲き乱れる。日没前の薄暮の中で、千本のキャンドルを前に気持ちよく演奏できた。山あり谷ありだったがほんとうに続けてきてよかったと思えるステージだった。

センチメンタル

カモンベイブ、夏の日の想い出、といえばセンチメンタルシティロマンスの懐かしい楽曲だ。2021年中野督夫さんが亡くなって、あの歌声がもう聴けなくなったと寂しい思いをしていたが、iPhoneに彼等の20thメモリアルライブのアルバムがサブスク配信された。青春時代が懐かしい。

永平寺に行く

おおっ!これが永平寺かと思わず見上げる壮大さだ。周辺に林立する巨木は樹齢何年だろう。堂宇の中は想像を絶する広さと重層さを備える。真冬に門前に立って修行を請う僧侶たちの姿も思い浮かぶ。人間とは偉大な歴史の中を生きているのだと思えるのである。