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赤ひげ診療譚

あまりにも人口に膾炙した古典的名作だとわかっていながら手に取る機会を持たなかった。ようやく読んでみてその味わいにしみじみ酔いしれる。江戸の庶民の暮らし、貧しい暮らしに喘ぐ人々の運命、人間とはいかに生くるべきかという問いかけに真正面から向き合える。怒りっぽい隣の年金生活者にも温かい眼差しが向けられる気がする。(392/1000)



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カナリア恋唄

こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000)

東京新大橋雨中図

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粒と棘

戦後生まれで自分より若い作家なのに、よくぞここまで戦後間もない時期の日本社会の闇と歪みを描き出してくれたものだと驚く。何の因果関係もない6編の小作かと読み進んでいくうちに、それらが全て繋がっていく構成に舌を巻く。今の日本はやっぱり平和なんだなと改めて思わざるを得ない。(541/1000)