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獅子

全12巻の真田太平記よりも前に上梓されたものらしい。93歳の真田信之がいかにして時の老中酒井忠清と家督相続をめぐって暗闘を繰り広げ打ち勝ったかを描く。その信之という人物がいかにして生まれたかを突き詰めたのが太平記だったそうだから、然もありなんと思える出来栄えだ。老年を迎えて斯くありたいと読者に響く一冊だ。(335/1000)



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カナリア恋唄

こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000)

東京新大橋雨中図

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粒と棘

戦後生まれで自分より若い作家なのに、よくぞここまで戦後間もない時期の日本社会の闇と歪みを描き出してくれたものだと驚く。何の因果関係もない6編の小作かと読み進んでいくうちに、それらが全て繋がっていく構成に舌を巻く。今の日本はやっぱり平和なんだなと改めて思わざるを得ない。(541/1000)