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ある男

蛻にいかに響くか蝉の声
最終盤に主要人物の息子が読んだ句が象徴的だ。結婚した相手が戸籍交換によって、過去の忌まわしい自分の歴史を清算して再出発しようとする。まるで蝉の蛻(ぬけがら)のように。変身と存在、過去と未来の愛の形、様々な問題提起を与えてくれる一冊だ。映画「マチネの終わりに」がこの人の作だとは驚きだった。(189/1000)


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カナリア恋唄

こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000)

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