スキップしてメイン コンテンツに移動

踏み石か置き石か

ジェイソン・ボーン四部作や新作ドラマのタイトルにもなっているトレッドストーンというのは「踏み石」と訳される。アメリカに日本庭園の踏み石があるかは怪しいところだが、緊急事態宣言の出し入れは踏み石のようだ。酒屋や酒場に石を置き飛び越えさせて、てっぺんの五輪の傘から取って返す「かかし」遊びにも似ている。踏み石や置き石から時勢を俯瞰してみたくなる。

コメント

このブログの人気の投稿

亥子ころころ

久しぶりの西條奈加だったが、『まるまるの毬』に勝るとも劣らない出色の出来栄えの作品だ。しかも毬(いが)を継いでの亥子なのだから興趣を掻き立てられる他ない。毬も菓子職人、本作も菓子職人にまつわる親子、師弟、友人の人情と憐憫を扱い、胸を突くシーンは縦横無尽だ。名作に出会える喜びに浸れるのはなんとも贅沢だ。(458/1000)

三河雑兵心得⑦ 伊賀越仁義

穴山梅雪は、家康と間違われて殺されたという通説を取らず、光秀に従おうと京に向かったところを野伏に弑逆された説を立てる。本多兵介を家康に見立て平八郎等ととともに、家康と別ルートで伊賀越えを果たす植田茂兵衛。架空の人物としても、充分伊賀越えの醍醐味が味わえる。(432/1000)

運転者 未来を変える過去からの使者

たまたま倅が職場で必要な代物をなくしたみたいだと細君から聞いた。始末書を書くのもいい薬だと思って納得したが、結局同僚が拾ってくれていたそうでことなきを得たのは、運が悪いのではなく貯めていた運を使わせてもらったということになる。そういう話がこの物語を構成していて、読むほどにじわーっと心が温まる名作だ。(399/1000)