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2月, 2021の投稿を表示しています

高層の構想力

やれデジタル化だなんだと掛け声だけはもっともらしいが、企画はあっても構想力がないのがこの国の弱点だろう。紺野登は存在しないものを存在させるのが構想力だと喝破している。 高層の天主を中心に城と内堀で囲まれた主郭に加え中堀と外堀で曲輪を囲む。城内からは直接船で琵琶湖に漕ぎ出せるから驚きだ。こんな構想力を持った人物に出会いたいものだ。

The Restaurant of SUGA

西洋料理店「山猫軒」に入っていくと金属系のものは外せ、身体に塩をふれだのと店主からやたらと注文が多い。変だなと思ったら自分たちが食材になる羽目になったという宮沢賢治の寓話。高級官僚が菅の経営する料理店に次々と入っていって餌食になったのと同じだ。違うのは童話の主人公は恐怖で醜く顔が歪んだが、官僚たちは平然としていることだろう。

出鱈目なタラちゃん

鱈にもマダラやスケトウダラと種類があるし、「たられば」なんていう後ろ向きな表現もある。出鱈目というのは、鱈とは無関係でサイコロを振って出た目の通りにするいい加減な言動をいうらしい。ダイバーシティーというのはダイバーになって鱈でも捕獲するくらい出鱈目と見分けがつかない。出鱈目を多様性と言い放つのはこんにゃくを魚の刺身というほど愚かに見える。

たべてみや〜っち

思案にふけりながら物事をすると兎角あきれることをしがちだ。ラーメン屋で呼ばれて席を立ちトレイの上に箸を置き、いつものように胡椒をパッパと振りかけて爪楊枝ケースから爪楊枝を一本振り出す。毎回お決まりの手順なのだが、胡椒を振りかけたらなにやら音が違う。よく見ると爪楊枝が一本頭を出している。見ていた若い女店員のマスクが揺れていたのは気のせいだったろうか。

オアシスのあるじ

旧友から西雀荘を見たいと突然のメール。どうぞどうぞと迎えると先月離婚し人恋しくて誰かと話をしたかったそうだ。細君と90歳の母を動員して雀卓を囲み和んだ様子だった。思い起こせばここはただ麻雀をするために設けたのではなかった。かく人生の岐路に立ち悩める人の癒しの場であったのだ。ペルーのワカチナは美しい姫が身を隠すために湖となったという伝説のオアシスだそうだ。そんなオアシスのあるじになりたいものだ。

お宅拝見

細君との楽しみのひとつがモデルハウスや販促物件の新築家屋を見学することだ。最近近所にできた分譲地の一軒で見学会があったのでさっそく覗いてみた。驚いたのはIoTが標準装備されていることで、アレクサに声を掛けると電気が消えたりついたり音楽や情報が聴けることだ。お値段なんと4,500万円。「女房以外は新しいのがいいね」と気を遣いながら婿に勧めておきますと言い逃れて退出したのであった。

俺のサラメシ

朝一番で電話を取ると、年配男性から「相談会場の整理券を定刻前から配ってるだろう。なんで予約制にしなかったんだ?」と苦情だ。苦情処理を専門にしていた経験からなんとか宥め、正社員でもないのに昼当番まで与えられ漸く昼を迎えた。同じ立場の女性から「お昼行ってきてください。ニコチン切れですよね」と労われ「うん、俺にはワクチンよりニコチンだ」と答えて笑いをとったのだった。

苦悶の引き算

仕事をしていれば1+1は2ではなく3にも4にもなるのが常套句だったが、リタイアしてみると実は足し算でなく引き算が毎日の暮らし方になる。再考を促されても再就職を辞退したのは自由がほしい自分の気持ちもあるが、元部下がすでにそこにいたからだ。彼が望んでも元上司が後から入社すれば彼もやりにくかろう。そんな元部下の気持ちは引き算できないものだ。

金もいらなきゃ〜

残りあと4週間だというところまできて、知人が勤める会社に4月から来てくれないかと打診があった。週3日勤務で今の勤務先より報酬は高く、仕事の内容も一匹狼の営業で自由な環境だ。断る理由はないのだが、どうにも枠にはめられるのが受け容れ難い。もう組織やカレンダーに縛られたくないというのが本音なのである。仕事もいらない。あたしゃも少し自由がほしい〜

時間差攻撃

空売りの理屈はわかるようでわからん仕組みだ。高値で証券会社に売り注文を出す。決済期間まで売却代金は証券会社が預かる。決済日に買い戻さねばならんが、株価が売値より下がっていれば買値との差額が利益となる。ヘッジファンドがそんな手法を駆使するために現在の株価上昇を息をつめて狙っているとしたら、コロナで手にした泡銭は時間差で彼らの手に落ちるんだろう。

南3局目

老い先が短くなると目の前の事象だけでなく、その先が見えてくるようになるから不思議だ。このまま終局すると何点で何番になるのか読めるのと同じで、この現象はいづれこうなるだろうと当て推量すればおおよそその通りになる。高じてくるとだんだん将来に期待しなくなるのではないかと心配だ。将来を期待しなくなるということは過去に浸りきる老化現象が始まったのかもしれない。

しあわせの裏側

小林秀雄は「自己嫌悪とは自分への一種の甘え方だ、最も逆説的な自己陶酔の形式だ」 と言ったらしいが、仕事の中で逆境に身を置く人々に遭遇すると自己嫌悪を意識する。障害をもった子どもを抱えた親、癌と闘っている同世代、偶然知ることとなった従兄弟の早逝。幸福を享受している自己を嫌悪することで安っぽい憐憫に流されまいと意地を張る。それが甘えだとわきまえながら、心のバランスを保てるなら。

春、こごみ、屈む。

野菜売り場に春の山菜が並んできた。近所にもう咲いている菜の花に加えて、「こごみ」まで見つけるともう春間近だ。先端が屈んでいるように見える様子からその名がついたそうだが、新芽と無縁な老人の嗜みとしては似つかわしい野草だ。想定外のシーンに出くわしても、卑屈にならず毅然として屈んでいられる達人の技でひっそり自生したいものだ。

マイペース

ようやくゴールが見えてきて、やりたいことをやろうという気持ちの余裕がうまれてきた。ゴルフ場の予約を取ったり、知人に声をかけたりし始めていると、自由な高揚感に包まれる。なんて思いながらゴルフの練習から帰ってくると、自治会の上部団体会長が訪ねてきてまた会計を打診された。今度こそ再び手に入れた自由だ、地元への恩返しはもう十分だ、丁重にお断りさせていただいた。

今時の小学校

小学校3年生になる孫娘から突然画像電話がかかってきた。 「▲▲小学校3年生の◯◯あやのです。インタビューをします。子どものころはどんな食事をしていましたか?」 「うーん、焼き魚かな。あと卵焼き。卵かけご飯もあったな。ご馳走はすき焼きだった。お正月はおせちとお餅」 「・・・」 ママが宿題はそれで書けた?と聞くと大きくうなづきながら「ありがとう」と言って電話は切れた。今時の小学校も粋なことをしてくれる。

ブルー蛇道

森とんかつ川淵げ鍋囲まれ天ぷらなんて歌いたくなる田舎芝居だった。かろうじて日本の良心を救った蛇道の幕切れに胸を撫で下ろした。60代の自分でさえ隠遁生活を選んだのに、なんで80代の老獪がなお脚光を浴びようと表舞台にしがみつくのか。「どの星よりも光り輝く彗星」というのがブルーコメッツの由来らしいが、彗星は消えてなくなるが故に光り輝けるのである。

われは客の子知らないの〜

いよいよ退職まで秒読み段階となってきたが、ここへきて日々忙殺される毎日だ。とりわけ自分より年配者の応対に神経を使うが、丁寧にお礼を言ってくださる人もいれば、文句を言ってくる人もいる。ああ、つくづく俺はお客向きの人間にできているんだなあ、他人が喜んでくれることが自分の幸せなのだ。海鳴りの音が遠く聴こえる。

女性別紙

西雀荘の新メンバーとなった焼き鳥屋の店長たちから昼間の利用申し込みがあり、仕事で対応できない夫の代わりに細君が牌のセットから応対までひとりでこなしてくれた。内助の功というか鶏鳴の助というかありがたいものだ。本編も大事だが別冊付録にそそられた少年雑誌のように、男女は互いに補い合えたら幸せだろう。曰く別紙は侮れない。

「推し、燃ゆ」推し。

勧められて読み始めたらとんでもない傑作だった。解読不能な現代用語の海に溺れそうになりながらも、選ばれた言葉の必然性と結ばれて星座を構成する星々のような文章に圧倒される。接続詞を一切放棄して文脈を連鎖させる手法は三島由紀夫を彷彿とさせる。座右に置いて読み返したい本がひさしぶりに現れたものだ。

余生は四字熟語

老害だ粗大ゴミだと思うなら掃いて捨てろと居直る小男を辞めさせずに捨て置くのもこの国の人々の寛容さなんだろう。勝海舟をして老成円熟の人と唸らしめた横井小楠のような老人にはついぞお目にかかれない。老成円熟どころか老害未熟を余生の原動機として老人が跳梁跋扈する超高齢化社会。剪定だ、音楽会だ、俳句だと自分探しもいいが他人の迷惑にならないようにしたいものだ。

ヤマアラシのジレンマ

ソーシャルディスタンスだ煽り運転だのが現れて、人や車同士の物理的間隔は離れる一方だが心の距離感も隔たるばかり。職場、夫婦、親子、友人、政治家と国民。互いにヤマアラシの針をアンテナにして一触即発を避ける距離感をキープだ。ショーペンハウワーが産んだ寓話だそうだが、彼がSNSやLINEを駆使していたら、SNSのジレンマと名づけたかもしれないが。

おとといのジジー

次から次へと押し寄せる依頼者を捌き、あれこれ注文の多い電話相談を縦横に片付け、飲みに行っては細君に起きた大小の茶飯事を一緒におさらいする。細君の誕生日だからと誘った倅に記憶力の低下を指摘されても彼の悩みに耳を貸す。ほろ酔いで家につけば母から亡父の看取りに対する落ち度を繰り返される。ヘトヘト、獅子奮迅した一週間の締めであった。

しんきろうロード

富山県魚津市に「しんきろうロード」があるという。 「あれって蜃気楼よね」 「うん、そうだね」 「しんきろうといえば森喜朗ね」 「今や日本はおろか世界中から総スカンだな」 「そうよ。女性を差別して。老害だわ」 「と言って老害に括るのも差別か」 「女性だ、年寄りだと十把一絡げにして見える現象こそが蜃気楼かもしれないね」

イベントワラシ

ひとつのイベントを催そうとするだけで、関係者の考え方がこうも異なり方向性がぶつかるものかとため息が出る。イベントプロデューサーの適正テストがあるのでやってみる。 □ 人を喜ばせることが好き □ 考えるより先に行動するタイプ □ 反対多数でも実行できると考える □ 文章を書くことが好きだ □ 周りの人より、何かに気づいたり、細かいことを気にする方だ □ 新しく始めたことは継続的に続く方だ □ 年下、年上関係なく相手を敬うことができる □ 困難な状況や新しいチェレンジングな環境に飛び込む度胸がある。むしろワクワクする。 □ 時間を守ることは絶対だと思っている □ 数字が好きだ □ 理論より心に湧き起こる感情や直感を重視する □ 質問することが得意 □ 勉強が好き □ 礼儀マナーを重んじる □ 過去を振り返るより未来のことを考えるのを優先するタイプだ この中で10個当て嵌まったらイベント会社が採用してくれるそうだ。えっ?私?もちろん10個以上当て嵌まっているのが辛いところだ。

ミンコフスキー幾何学

天気は動いていない、そこにできた雨雲が雨を降らせていると言った気象予報士がいたが、時間と動きの関係には盲点があるようだ。ビッグバンで誕生した宇宙の時間には不可逆性がある、移動する物体の中では測定する時間に差が生ずる。時間を空間のような広がりとして捉えると、残された限りある余生にも希望が湧いてくるから不思議なものだ。ミンコフスキー幾何学でも眺めて暇つぶしでもするか。

なぞなぞだぞー

いまだにPCR検査をしないのが謎だ。積極的疫学調査とか言って相変わらずクラスター対策に拘ってるかと思えば、60億もの予算を死守する国立感染症研究所の唯我独尊も野放し状態。無症状の膨大な感染者数が判明すればオリンピックどころじゃなくなるからか、PCR検査の費用を国費で賄うには財政への影響大だからか。解けないなぞなぞは嫌だなあ。(ちなみになぞなぞの答えは2字)

ハイ、先生!

人材を育てようなんておこがましいと言う上司もいた。人はそう簡単に思い通りに教育などできるものではないから、ティーチングだコーチングだなどとあの手この手の手法が編まれる。編んで育てるのではなく自ら「育む」のだと亡父から叩き込まれたから、外出は控えろだの自粛しろなどと御上から指図されたくない。この闘いから学ぶべきは他人のせいにしない自覚であろう。

迷探偵コロナン

4月に予定している野外コンサートの直前練習用に押さえておいた公共施設がワクチン接種会場となり利用不能だと携帯に連絡があった。こんな影響まで及んでくると、なにやらワクチンでオリンピックをムリクリ開催するための片棒を担いでいるような気がして不愉快だ。ワトソン博士はホームズの相棒だったが、ステイホームズだけでは解決できない難事件にワクチン博士の手助けがほんとうに必要なのかどうかも怪しいものだ。