感情が表情に出る人 4月 28, 2020 あなたは嫌なことがあるとすぐ顔に出る、とは細君がよく指摘する台詞だ。そういうわけだから今日も若い女性職員に電話を取り次いだら、なんで私を指名するんですかと抗議されてうろたえた。日頃の親切な応対ぶりに感服しているからなのに、なんだその言い草はと目ん玉が飛び出るような驚きが表情に出ていたことだろう。ところがそこはマスクのありがたさだ。顔半分が見えないお陰で、彼女に嫌悪は伝わらなかったに違いない。人間らしい感情の伝わらない世界で仕事をする若者たちに愛、希望、自由といった胸がときめくような言葉は果たして伝わるのだろうか。 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ コメント
カナリア恋唄 1月 08, 2026 こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000) 続きを読む
東京新大橋雨中図 12月 10, 2025 小林清親という明治初期に生きた画家の半生を描く。作者の巧みな描写力は、まるで絵画の如しだ。江戸から続いて明治に馴染めない元御家人たちや市井の人びとの気持ちを丹念に辿る。さまざまな不幸や不運に見舞われながらも懸命に生きる女たちを、まるで眼前に見えるかのように鮮やかに描き出すのだからたまらない一冊だ。(522/1000) 続きを読む
粒と棘 3月 30, 2026 戦後生まれで自分より若い作家なのに、よくぞここまで戦後間もない時期の日本社会の闇と歪みを描き出してくれたものだと驚く。何の因果関係もない6編の小作かと読み進んでいくうちに、それらが全て繋がっていく構成に舌を巻く。今の日本はやっぱり平和なんだなと改めて思わざるを得ない。(541/1000) 続きを読む
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