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涅槃 (上)(下)

木下昌輝「宇喜多の捨て嫁」、上田秀人「梟の系譜」に続いて読んだのは、宇喜多直家その人だけを上下巻1,200頁にわたって具に描ききった大作だった。その幼少期から一国一城の主となり、隣国や大国との係争に腐心する姿は前二作にはない壮大な時代絵巻だ。「絵巻」と敢えて評した理由は読めばわかるに違いない。(509/1000)

島津義弘伝 (上)(下)

島津家伝説の英雄たちを扱った作品だとワクワクして手に取ったものの、意外に冷めた視点で謀略や内紛を描いているのに驚いた。歴史小説もこんな描き方をされたのでは、ファンも増えさせることはできまい。自分より20年以上も若く、地元愛大を卒業した筆者とあとで知って、然もありなんと頷くほかない。(508/1000)

父子船

初めて手にする作家だが、「水戸黄門」「必殺仕事人」「雲霧仁左衛門」などの脚本家という経歴に違わぬ読みやすく娯楽性に富んだ出来栄えだ。父の子の情愛と悪人どもとの対峙に絡ませて、『地獄への案内人』であるお竜と井出勝之助に活躍させるというシナリオは充分に時代劇ドラマになるだろう。(507/1000)

盤上のアルファ

本作が続編だと思って読んだが、実はこちらが元であった。『盤上に散る』は本作に現れる強烈な個性の塊ような登場人物を、さらに母を失った娘に辿らせる過程だっのだ。後先を考えればこちらから読んだ方が楽しめたかもしれないが、下巻からでも読める小生にとってはたいした問題ではない。この辺でこの作者も卒業か。(506/1000)

デルタの羊

久しぶりに7冊読んだひと月だった。最近嵌まっている塩田武士の3作目だが、相変わらずの取材力に驚くばかりだ。アニメ業界の現在と未来を検証する視点は、門外界の自分にも理解しやすい。一見別々の物語が始まって、いったいこの後どうなるのかと心配したくなるが、全てが収斂していく手際は見事というほかない。(505/1000)

アンパンマンの遺書

遅ればせながら朝の連ドラ「あんぱん」に嵌って手に取った。高校時代に親しんだ「詩とメルヘン」があのサンリオの出版物だったことも初めて知った。65歳を過ぎ70の声を聞いてようやくアンパンマンが世に出て脚光を浴びた彼の人生を著者とともに振り返ることができる。自分もいよいよ4コマ目。「なんのために生まれて 何をして生きるのか わからないまま終わる そんなのはいやだ」よくわかる。 (504/1000)

盤上に散る

麻雀だけでなく将棋ファンでもある小生にとっては飽きさせない作品だ。関西人の巧みなユーモアも随所に散りばめられていてフッと微笑みたくなるのも嬉しい。タイトルに示されたほどには壮絶なドラマでないのも、なんだか作者に初めから何十手も読まれていて「詰めろ」に誘われた気がしてそれも爽快だ。(503/1000)