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10月, 2025の投稿を表示しています

ベルリンは晴れているか

第二次世界大戦下のベルリンを舞台に、少女か尋ね人を探し出す行程が530頁の大部で詳細に描かれる。よくもこれほど、大戦下の異国の状況が綿密に辿られるものだと驚かされる。参考文献や映像の多さは群を抜いているだろう。最後に物語の結末が明らかとなったところに、この物語のエンタメ性が窺われて、それも好ましい。(511/1000)

藍を継ぐ海

全5篇。陶芸家、狼犬、長崎原爆の欠片、隕石、そして表題作のウミガメの話。どれもさすが今年の直木賞作品といえる珠玉の短篇ばかりだ。人というものは悲しい性を持った生き物だ。一方、決して希望を失ってはならないと悟らせてくれる。旅のお供にぜひ持参して読み返すのも格別だろう。(510/1000)