スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

3月, 2025の投稿を表示しています

雷桜

映画にもなったようだが、まったく知らなかった。この作者の短編集「余寒の雪」があまりにも秀作であったので、手に取った長編であったが、期待を裏切らない作品だった。徳川10代将軍家斉の子として生まれた斉順をモデルにしたという斉道を軸に、遊という瀬田に生まれた宿命の女性との出会いと別れを描く。途中涙を誘われる場面が多いのには本当に参る。(481/1000)

おれの足音 (上)(下)

下巻から読んで上巻に達して読んだのだが、少しも違和感がない。あまりにも人口に膾炙した歴史上の事件だからなのか、筆者の巧みな語り口によるものなのか。内蔵助の人となりが足音繁く時間軸を追うというよりも、ほとほととまるで足音が聞こえぬかのようにその時を迎えるまで描き尽くされる。(480/1000)