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10月, 2024の投稿を表示しています

ぼっけもん 最後の軍師 伊地知正治

最後の軍師と呼ばれる人だそうだ。鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争、会津戦争と第一線で指揮を取り、西郷や大久保とも一線を画しながら、維新後は後進を育成した。隻眼、不自由な片脚という異形の戦略家でありながら、没落士族のために殖産事業を建白し続けるなど魅力に溢れた維新の英雄である。(462/1000)

六つの村を越えて髭をなびかせる者

タイトルからして、極寒の北海道を探検しアイヌ民族と同化した男の過酷な旅路かと想像したが、最上徳内という実在の人物の一生を辿った記録である。田沼意次、松平定信の両時期に、蝦夷探検に向かった一行の苦難と有為転変がつぶさに描かれているので、知識として座右に置いてみてもよい一冊だ。(461/1000)

二月二十六日のサクリファイス

二・二六事件の真相とは何だったのか、実在した山口一太郎大尉や大谷敬二郎憲兵大尉、本庄繁大将、石原莞爾大佐などを配して主人公の林逸平憲兵軍曹にその核心を追い求めさせる。一部青年将校が起こした戦前の叛乱事件だと片付けられない実に手に汗握る展開だ。大義のために小さな努力を切り捨ててはならない。現代への警鐘でもある。(460/1000)

野望の屍

ヒトラーと石原莞爾を両極にして第二次世界大戦及び太平洋戦争を通観する。ドイツになぜあの独裁者が現れたのか、満州事変を仕組んだ男の思想とは何だったのかについて戦史とともに振り返ることができる。犠牲となった無辜の市民や兵士にではなく、世論や風潮に流される社会にこそその罪を問いたくなる。(459/1000)

亥子ころころ

久しぶりの西條奈加だったが、『まるまるの毬』に勝るとも劣らない出色の出来栄えの作品だ。しかも毬(いが)を継いでの亥子なのだから興趣を掻き立てられる他ない。毬も菓子職人、本作も菓子職人にまつわる親子、師弟、友人の人情と憐憫を扱い、胸を突くシーンは縦横無尽だ。名作に出会える喜びに浸れるのはなんとも贅沢だ。(458/1000)

大久保彦左衛門 不遇の時こそ

天下の御意見番、大久保彦左衛門の不遇な境涯を中心に描かれているかと思ったら、彼の著作「三河物語」を注釈したような叙述が続いて閉口したが、最終章の12章まで至って漸く彼の思想がストンと胸に落ちた。譜代の者は主君の名誉に殉ずるべし。地獄がないと思わば孝養も能うべし。古武士の生き方に学ぶべきことは少なくない。(457/1000)

高望の太刀

桓武平氏の祖がこの主人公である高望王で、桓武天皇の曾孫でありながら臣籍降下され平高望となったという。上総国に封じられ関東を支配したことから、後に平将門も現れ、上杉謙信、織田信長等も平氏を継いだと思われる。濡れ衣を負わされ東国に配流された後に、朝廷軍を破って京に凱旋するという痛快なドラマである。(456/1000)

異形の将軍 (上)(下)

石破首相が敬愛する男の伝記を奇しくも読むことになった。「山に登って道に迷ったら二つの方法がある。川に沿って下る。これは行政だ。もう一歩登って霧が晴れるのを待つ。これが政治だよ。」久しくこの国を支配してきた右傾化した勢力から、就任早々矢弾を受ける新総理にはこの田中の言葉を支えにして頑張って欲しいものだ。(455/1000)