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走れ、若き五右衛門

まあなんと読みにくい作品だ。句読点も台詞も人称も無茶苦茶で、下ネタは縦横無尽。こんな作者の本は読まずに返却しようかと思いつつ読み進むうちに、どんどん作品世界に引き込まれ、気がつくと370頁を一日半で一気に読み終えてしまった。若き日の石川五右衛門の成長と精神の相剋に加え、戦国時代初期の時代感覚を追体験しているかのような作風は圧巻であった。(169/1000)



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亥子ころころ

久しぶりの西條奈加だったが、『まるまるの毬』に勝るとも劣らない出色の出来栄えの作品だ。しかも毬(いが)を継いでの亥子なのだから興趣を掻き立てられる他ない。毬も菓子職人、本作も菓子職人にまつわる親子、師弟、友人の人情と憐憫を扱い、胸を突くシーンは縦横無尽だ。名作に出会える喜びに浸れるのはなんとも贅沢だ。(458/1000)

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