スキップしてメイン コンテンツに移動

栄花物語

日本史の常識では賄賂、金権の代名詞である田沼政治だが、本書が再評価の先鞭をつけたのだろう。抬頭する商業資本主義を金融の仕組みで幕府財政と融合させようとした彼の改革が遮られたことが後の幕府の瓦解を早めたともいえる。100年早く生まれ過ぎたのか、政治とはそういうものなのか。「罪は人間と人間とのあいだにあるもので、法と人間とのあいだにあるものじゃない」総裁選を傍観しながら重く響く。(77冊目)



コメント

このブログの人気の投稿

カナリア恋唄

こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000)

東京新大橋雨中図

小林清親という明治初期に生きた画家の半生を描く。作者の巧みな描写力は、まるで絵画の如しだ。江戸から続いて明治に馴染めない元御家人たちや市井の人びとの気持ちを丹念に辿る。さまざまな不幸や不運に見舞われながらも懸命に生きる女たちを、まるで眼前に見えるかのように鮮やかに描き出すのだからたまらない一冊だ。(522/1000)

粒と棘

戦後生まれで自分より若い作家なのに、よくぞここまで戦後間もない時期の日本社会の闇と歪みを描き出してくれたものだと驚く。何の因果関係もない6編の小作かと読み進んでいくうちに、それらが全て繋がっていく構成に舌を巻く。今の日本はやっぱり平和なんだなと改めて思わざるを得ない。(541/1000)