ご隠居の利き酒巡り〜作 8月 29, 2020 三重県鈴鹿にある酒蔵清水清三郎商店の直販店太田商店までわざわざ行って買い求めた「作」シリーズの逸品。布製の巾着袋に納められ東京、鳥羽、ここ太田商店でしか手に入らない。FLINTとはヤマトタケルの命を救った火打石の名を冠したそうだが、精米歩合60%の馥郁たる日本酒の味わいはこの猛暑で疲れた体力を回復させる命の酒だ。木と木を摺り合わせていた先人にとって、石英の一種フリントに鋼鉄片を打ち合わせる発火方法の発見はスマホの登場みたいなものだっただろう。 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ ラベル ご隠居の利き酒巡り 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ コメント
ふるさと銀河線 3月 19, 2025 全9篇の短編集だが、その全てに鉄道が絡まるのがうれしい。寺山修司の詩が引かれているが、全編を通じてその詩魂が宿っている気がする。 幸福が遠すぎたら さよならだけが 人生ならば また来る春は何だろう はるかなはるかな地の果てに 咲いている野の百合何だろう さよならだけが 人生ならば めぐりあう日は何だろう やさしいやさしい夕焼けと ふたりの愛は何だろう さよならだけが 人生ならば 建てたわが家は何だろう さみしいさみしい平原に ともす灯りは何だろう さよならだけが 人生ならば 人生なんか いりません (484/1000) 続きを読む
迷路 (上)(下) 7月 07, 2025 戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000) 続きを読む
罪の声 8月 09, 2025 ようやく5年半をかけて500冊に到達した。区切りの一冊は映画化された同書だが、映画とは細部が微妙に異なるだけでなく、文字から伝わる感動はまた別物だ。グリコ森永事件の真相を独自解釈した構想も壮大だが、なんといっても加害者側に組み込まれた子供たちの運命に焦点を当てた作者の視点が作品に普遍性を与えている。(500/1000) 続きを読む
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