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秒速5センチメートルで歩く

新しい職場に足を踏み入れる4月1日がだんだん近づいてきた。新入社員に高揚感は俳句における季語のようなものだが、老獪な手品師のような隠居老人の初心には種も仕掛けもない。さはさりながら、出入口はどこか、食事はどこでとるのか、同僚にはどんなひとがいるのか等々40年ぶりの心配もある意味新鮮だ。奇しくも長女の孫が新一年生、次女の孫が1歳でいきなり保育園デビューと相成り、孫ともども桜の舞い散るスピードで歩んでいきたいものだ。

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ふるさと銀河線

全9篇の短編集だが、その全てに鉄道が絡まるのがうれしい。寺山修司の詩が引かれているが、全編を通じてその詩魂が宿っている気がする。 幸福が遠すぎたら さよならだけが 人生ならば また来る春は何だろう はるかなはるかな地の果てに 咲いている野の百合何だろう さよならだけが 人生ならば めぐりあう日は何だろう やさしいやさしい夕焼けと ふたりの愛は何だろう さよならだけが 人生ならば 建てたわが家は何だろう さみしいさみしい平原に ともす灯りは何だろう さよならだけが 人生ならば 人生なんか いりません (484/1000)

迷路 (上)(下)

戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000)

罪の声

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