雪夢往来 4月 18, 2025 越後の村にあって、本業の傍ら40年もの間、山東京伝、曲亭馬琴等に出版を依頼し続けながら、「北越雪譜」を書き続けた鈴木牧之。馬琴の不遜さには呆れるが、彼に翻弄されながらも、粘り強く地道に努力し続ける牧之の姿は胸を打つ。何事につけすぐに結果を求めたがる現代において、いかにロングスパンで人生を捉えることが大切か教えてくれる。蛇足ながら前借り手が挟んだのか「猫」の栞が残されていたのが象徴的だった。(488/1000) 続きを読む
菜食主義者 4月 12, 2025 月がかわってようやく手にして読み終えた一作が昨年ノーベル賞を受賞したハン・ガンのこの作品だった。訳者も素晴らしいので、外国文学なのかどうかさえ忘れるほどの流麗な文章と構成だ。人間であることの実存性を植物との対比で究極まで見つめ直すと、登場人物等の葛藤が理解できるかもしれない。恐ろしい作品だ。(487/1000) 続きを読む