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無私の日本人

映画「殿、利息でござる」は何度観ても涙を誘うが、原作者はこの人であったかと驚く。驚くのは穀田屋十三郎ほか9名の無名の人ばかりではなく、本書が取り上げた中根東里、大田垣蓮月についてもだ。作者が言うのに倣えば、新首相の言う新しい資本主義や成長と分配などもあやかしにしか思えない。本当に大切なことは、無私にして善良な市井に生きる人々の営みだと思える。(88冊目)



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迷路 (上)(下)

戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000)

罪の声

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ながい坂 (上)(下)

これが正しいという信念にとらわれると、目も耳もそのほうへ偏向し、「正しい」という固執のため逆に、判断がかたよってしまう。1,000頁を越えるこの本から何度も同様の警句を読み取りながら、相変わらず正義感に走ろうとする己を律しきれないのが歯がゆい。人間とは己の分を守ってその能力を遺憾なく果たしていきたいものだ。(494/1000)