亀の甲より虫の幸 7月 04, 2020 窓口で若い同僚を相手にわめき散らす老人。いい歳をして嘆かわしい限りで、何が亀の甲より年の功だなどと憂いにふけりながら家路に着く道すがら、一羽の体長豊かな鳥が目の前に降り立った。突然の登場にこちらも驚いたが鳥も驚いたようで、飛び去る軌跡に慌てぶりがよく表れていた。ふと見ると、小雨のそぼ降る中地面を這いつくばって歩む虫がいるではないか。そうか、彼は私が通り掛からなかったら鳥の餌食になっていたのかと思い至った。人の一生というものもそういうものなのかもしれない。 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 共有 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ コメント
迷路 (上)(下) 7月 07, 2025 戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000) 続きを読む
罪の声 8月 09, 2025 ようやく5年半をかけて500冊に到達した。区切りの一冊は映画化された同書だが、映画とは細部が微妙に異なるだけでなく、文字から伝わる感動はまた別物だ。グリコ森永事件の真相を独自解釈した構想も壮大だが、なんといっても加害者側に組み込まれた子供たちの運命に焦点を当てた作者の視点が作品に普遍性を与えている。(500/1000) 続きを読む
ながい坂 (上)(下) 6月 21, 2025 これが正しいという信念にとらわれると、目も耳もそのほうへ偏向し、「正しい」という固執のため逆に、判断がかたよってしまう。1,000頁を越えるこの本から何度も同様の警句を読み取りながら、相変わらず正義感に走ろうとする己を律しきれないのが歯がゆい。人間とは己の分を守ってその能力を遺憾なく果たしていきたいものだ。(494/1000) 続きを読む
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