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漁父の理

亡父は生前知人に小生の話をする際「倅」と呼んだ。なぜ「せがれ」かというと楚の政治家屈原が「漁父の辞」の中で「顔色憔悴し形容枯槁」と著し、憔悴→やせ、枯槁→かれ「やせがれ」が「せがれ」に転じたかららしい。屈原は妥協を嫌う孤高の人で、一方漁父は世の流れに従う融通無碍の人だった。屈原は非業の死を遂げるが、彼の死を悼んで命日の5月5日が端午の節句となったとか。初めての異動で思わぬ栄転に浴した倅は父に似て孤高に寄りがちなれば、痩せて枯れた父が漁父となって温かく見守ってやらねばなるまい。

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