涅槃 (上)(下) 9月 29, 2025 木下昌輝「宇喜多の捨て嫁」、上田秀人「梟の系譜」に続いて読んだのは、宇喜多直家その人だけを上下巻1,200頁にわたって具に描ききった大作だった。その幼少期から一国一城の主となり、隣国や大国との係争に腐心する姿は前二作にはない壮大な時代絵巻だ。「絵巻」と敢えて評した理由は読めばわかるに違いない。(509/1000) 続きを読む
島津義弘伝 (上)(下) 9月 15, 2025 島津家伝説の英雄たちを扱った作品だとワクワクして手に取ったものの、意外に冷めた視点で謀略や内紛を描いているのに驚いた。歴史小説もこんな描き方をされたのでは、ファンも増えさせることはできまい。自分より20年以上も若く、地元愛大を卒業した筆者とあとで知って、然もありなんと頷くほかない。(508/1000) 続きを読む
父子船 9月 05, 2025 初めて手にする作家だが、「水戸黄門」「必殺仕事人」「雲霧仁左衛門」などの脚本家という経歴に違わぬ読みやすく娯楽性に富んだ出来栄えだ。父の子の情愛と悪人どもとの対峙に絡ませて、『地獄への案内人』であるお竜と井出勝之助に活躍させるというシナリオは充分に時代劇ドラマになるだろう。(507/1000) 続きを読む
盤上のアルファ 9月 01, 2025 本作が続編だと思って読んだが、実はこちらが元であった。『盤上に散る』は本作に現れる強烈な個性の塊ような登場人物を、さらに母を失った娘に辿らせる過程だっのだ。後先を考えればこちらから読んだ方が楽しめたかもしれないが、下巻からでも読める小生にとってはたいした問題ではない。この辺でこの作者も卒業か。(506/1000) 続きを読む