秀吉と利休 7月 24, 2025 ちょうど今の政情に当てはめれば、三成は故安倍派残党で、利休は石破総理か。かつて我が世を誇った右寄りの保守層が、石破を追い落とす切欠をを見つけ蠢動する構図はなんとも気持ち悪い。利休を切腹にまで追い込む決断をした秀吉は差し詰め国民かもしれない。世阿弥の「上手は直しの手本、下手は上手の手本」の作者の揮毫が眩しい。(498/1000) 続きを読む
大石良雄・笛 7月 16, 2025 短編2篇だが、さすがは野上弥生子と唸らされる作品だ。「大石良雄」は、内蔵助の仇討ち決心までの心の揺らぎもさることながら、長男松乃 丞が父に決意を告げるシーンは圧巻である。「笛」は、今更ながら亡母の晩年の日々や女の人生の満足と不遇を再考させてくれる。( 497/1000) 続きを読む
宙をわたる教室 7月 11, 2025 結構長い順番待ちで手にした人気作品。今年度『藍を継ぐ海』で直木賞を受賞した作者だが、実際にあった定時制高校の生徒たちによる科学実験発表を題材としたものだ。ドラマ仕立てで、展開がややあざといのが難点だが、なるほど高校生の読書感想文推薦図書館に推されるわけだ。しかしこれを読んで得るものがある高校生っているのだろうか?(496/1000) 続きを読む
迷路 (上)(下) 7月 07, 2025 戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000) 続きを読む