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1月, 2023の投稿を表示しています

めぐみのひと

昨年のナイトライブで投げ銭をしてくれた人が誰だかわからずにいた。ライブ会場となったバーレストランの姉妹店がオープンとなるので出かけたところ、母店でいつも一緒になる男性も来ていて、細君がもしやあなたではと尋ねたらその人だった。クラウドファウンディングなんてややこやしい手法を使うより、投げ銭で恵んでいただく方策を考えた方がよっぽどよさそうだ。

架空年金

細君曰く「働いていない妻がいる夫は65歳になると加給年金がもらえるはずだけど、申請しないとダメらしいわよ」。そんな申請した覚えもないので、なかなか繋がらない年金事務所への電話を繰り返し調べてもらうと既に加算されていた。そういえば65歳になる前後に年金機構へなんか書類を返送したような気もする。架空の年金でとんだ皮算用しちゃったねと夫婦で笑ったのだった。

君は100歳まで続けられるか

フランス人のコレットさんは108歳。5歳でピアノを始めて84歳でファーストアルバムを出したそうだ。一日4時間の練習と卵3個にワイン1杯が長寿の秘訣だとか。103年間4時間の練習を毎日続ければこんなにも美しい旋律を奏でられるのだから、われわれもゆめゆめ日頃の鍛錬を疎かにはしてはならぬ。差し詰め筆者は一日4時間の読書、1時間のギター、1合の日本酒であと35年か。

万波を翔る

武張った戦国武将の時代絵巻に慣れしたんでいると、素っ頓狂な主人公の登場とともに幕を開ける幕末維新ストーリーにまず戸惑う。外国局に詰め開国を迫る各国異人たちと渡り合う姿は、外務官僚とはいかにあるべきかを示してくれる。笑いあり涙ありの540頁は読み終えるのが惜しまれるほどだ。実在したこの田辺太一だったら今の国の防衛戦略をどう捌くのだろう。(284/1000)

墓穴に入らずんば墓地を掘れ

心中穏やかではなかったクラウドファウンディングから審査結果が届いた。以下の諸点が抜けてるそうだが、ご尤もと思える点もある一方、そんなこと書いてあるだろうというのもあって、雲を掴むにはそれなりの見映えも繕う必要があることがわかった。 ・ プロジェクト目的の詳細情報( いつ 、どこで、誰が、誰に/何を、どのくらいの規模/量で、どのように行うか、準備状況、提供する商品や体験の詳細)が確定しており、ページ上に記載されている ※会場が必要となるプロジェクトは、プロジェクト起案前に会場の確保が必要となります。 ・資金調達後のプロジェクトの具体的な実現方法(いつ、どこで、誰と、何を、どのように行うか)の記載がある ・プロジェクト目的の完了までの スケジュール が記載されている ・見積もりに基づいた具体的な資金計画(内訳、算出根拠、不足分がある場合の対応方法)が記載されている ・プロジェクトを実行するメンバーの自己紹介(ご活動の実績など)が記載されている

若害あって一理なし

コロナもそろそろ出口で、久しぶりに地元で場末のスナックへ行った。安さが売りの店だが若者で満席状態なのはともかく、カラオケを歌うわれわれ老人に罵声を浴びせる傍若無人ぶりだ。老害を自覚する立場から見ると、彼等こそ「若害(じゃくがい)」だろう。老人に威厳が失せたのか、はたまた無為に歳を重ねた報いなのか。団塊の断層は住みにくい。

銀河鉄道の父

タイトルに惹かれてつい手に取ってしまった。心酔する宮沢賢治の父親がどんな人物だったのかワクワクしながら読むと、明治から大正期の厳格な家父長制の中にあって実に子煩悩で進歩的な人であった。あれほど賢治の身を案じ時に厳しく時に優しく接しながら、その最期を看取らねばならなかった父親の気持ちはいかばかりだったろう。あらそれ今度映画になるのよと細君に教えられ、さもありなむと頷くのであった。(283/1000)

夢幻

ジェフベックのギターソロや昔ながらの音楽の聴き方が若者に伝わらない時代だという。ビートルズも前時代を否定して世に出たとすれば、いずれ現代を席巻する音楽ムーブメントが現れるかもしれない。家康は信康を、信長は信忠を後継者としていかに成長させるかに腐心したが、どちらも夢幻に潰えた。時代をつなぐ、超えることの難しさを2部構成で500頁の大部が示唆してくれる。(282/1000)

雲を掴む

音楽会のことで恐縮だが、音響の専門家から野外はそれなりの設備の必要性を指摘された。自覚はしているが先立つものがない。ならば当世風にクラウドファウンディングで資金調達したらどうかとネットで体裁を組み申請した。審査待ちの状況に大事な個人情報を挙げた不安も重なり、まさに雲を掴むような魔法をリスクテイクした己がましら(猿)の如く愚かに思える。

TKO負け

3回か4回挑戦してようやく当選を射止めたジブリパーク。娘や孫たちを引き連れ総勢7名で一日遊びまくってきた。ジブリの大倉庫がこんなに見どころ満載とは驚きだ。先日久石譲のパリ公演の模様をテレビで観て感涙にむせんだばかりなだけに感慨も一入だ。なによりも孫たちが喜んでくれたのがうれしい。

甕伊佐錦

新年はいろいろと銘酒に巡り会えて愉快だ。先日の槐山一滴水もいいが、年末に割引価格で入手した「甕伊佐錦」もまた絶品だ。そもそも焼酎は黒伊佐錦が定番だったのだが、この甕熟成版はまた芳醇で、アルコール度数を別にすればほぼ清酒の味わいに近い。こんな贅沢をしていていいのだろうか。

ビューティフル・レターズ

これは珠玉の映画だ。人生は鏡だ。いい友達が欲しければ自分がいい人にならねばならない。人生はまたバランスだ。与えなければ得られない。言葉は癒しであり、人を傷つける道具ではない。作品を撮り終えて89歳で亡くなったバーニー・ダイヤモンドに語らせる言葉のひとつひとつに勇気と智慧を与えられる。こんなおじいちゃんになりたいものだ。

本意に非ず

明智光秀、松永久秀、伊達政宗、長谷川平蔵、勝海舟の5人が、それぞれの想いを昔語りする。あの時自分はこう思ったが、実は斯く斯くしかじかであった。特に鬼の平蔵と勝の振り返りは興味深い。火付盗賊改の鬼にも出世欲があったとか坂本龍馬の刺殺者はその場にいた中岡慎太郎ではないかとか、酒の肴になる話だ。(281/1000)

音楽会<結婚式

漸く決着したということで、申込書を公園事務所へ持参すると、本番日さえまだ確定していないという。さすがに堪忍袋の緒が切れて管轄官庁へ電話した。予備日の変更どころか当初予定日通りに復してもらうよう指導が入ったが、それでも予備日だけ交渉の時間を欲しいという。聞けばその日はウェディングパーティーを催すそうで、いくら後から入ったダブルブッキングでも一生に一度の祝福の門出まで退けるほど狭量じゃない。

心もよう

振り回された挙句どうなったかというと、春のコンサート日程は予備日の変更を受け入れることにした。こちらが規定通り1年前に申し込んでいるとはいえ、ダブルブッキングした相手が2日間にわたって相当ゴネていたのだろう。本来なら予備日を変更する必要もないはずだが、誤って受け付けた公園事務所の原状回復努力を無視するのは忍びない。オファー済みの参加者に打診し直す作業もひと苦労だが、歩み寄れない人間のいるこの世界は外気より冷たい。

大奥騒乱

徳川幕府第十代将軍家治の世継ぎをめぐって大奥、田沼意次、松平定信がお庭番、伊賀者を駆使して相争う。伊賀者同心御厨一兵の揺れ動く立場や忍びの苦渋が伏線となって物語に厚みを加える。幕府終焉に向かうこの時期を描いた作品は読み応えがある。この作者ならではの簡潔な構成力に改めて舌を巻く思いだ。(280/1000)

キヨエちゃんにも叱られる

今年の森の音楽会開催日を1年前に予約した際には、書類の提出は近づいてからでいいとなっていた。キッチンカーの件もあって公園事務所を訪れると、なんと他の団体に予約されているというではないか。すでにプロのミュージシャン他何人ものスケジュールを押さえている中まさかの事態だ。同じ公園内の別の会場に変更するにしても電源や控え室の問題もあり、キヨエちゃんどうしたらいい?

ハ・イ・リ・マ・ス

昔タクシーに乗ると、運転手がさも得意げに右左折のウィンカーをハンドルを切ると同時に出していた。誰のために出すのか意味不明な意思表示を一般ドライバーまで真似するようになった。そうかと思えばスーパーやら観光地の駐車場で、ハザードを点灯させて「このスペースは自分が入る」とあからさまに主張する。「ハイリマス」のサインを見るにつけはらわたが煮えるのは私だけだろうか。

忍び音

甲斐武田家が長篠の合戦で大敗するまでの間に、主人公が暗殺事件に巻き込まれ真犯人を探す道のりが描かれる。この作者らしい細かすぎる描写のせいで500頁も読まされることになるのだが、それはそれで愉しめると言っておこう。こういう作品が好まれると、「どうする家康」なんかももてはやされる風潮が嫌になる。(279/1000)

チョットマッテクダサイ

馴染みのスパゲッティ屋へ行って「ご注文が決まったら呼んでください」と女定員が言うので、オーダーを決めて呼ぶと「ちょっと待ってください」と応答する。近頃どこの店でも聞く言葉だが、おいおいそれは「はい、ただいま!」だろう。自分の都合で客に指図するとは主客転倒も甚だしい。百歩譲って「お待ちいただけますか?」と打診するのが正しい接客術だと思うのは細かすぎる指摘だろうか。

槐山一滴水

槐とは中国原産の樹だそうだ。仏教とともに渡来し、エンジュと読むことから「縁授」「延寿」にも繋がり、幸福の樹と呼ばれているそうな。その名を頭に戴いて「槐山一滴水」と名付けられた銘酒「作」の最高級品。1,800mlで20,000円もするらしいが、常連の焼き鳥屋でいただいた。ふくよかな味わいは言葉を要しない。まさに逸品である。

にわか雨

筆者が静岡県出身だからだろうか。本作も駿府、遠江を舞台とした今川家によって戦場に駆り出された足軽の話だ。初めから決して勇猛果敢なわけでも、その後歴史に名を残したわけでもないが、一介の百姓の倅が桶狭間の戦いを生き延びながら成長し達観していく様が心地よい。(278/1000)

ほくろもえくぼ

正月に細君の実家で宴会をしていたら、義母が孫娘の顔からほくろが除去されていたことに唯一人初めて気づいた。母である細君も気づかないのによく気づいてくれたと娘が喜んだ。当然ながらほくろの存在さえ知らなかった父である小生と違い細君は存在を知っていたが、私にもあるわよと言った細君の顔にも確かにあった。35年間ほくろもえくぼと細君の顔を見つめてきた夫はおめでたい。

義元、遼たり

どうする家康、でも今川のことに新解釈が加えられるようだが、真正面から義元のことを好意的に描いた本には初めて出会った。家督争いに勝つために兄と争い、最期は桶狭間に散る。短い生涯だが一陣の風のような爽やかさを感じさせてくれる。氏真についてもさらに知りたくなるのは当然だろう。(277/1000)

ザ・ロイヤルファミリー

新刊本がこんなにも感動を与えてくれるとは驚きだ。宮本輝の「優駿」ならぬ競馬小説だが、12ヶ月と四季の章立てで20年間を辿って馬主と競走馬達との深い関わりを描く。サラブレッドの血の継承と人間の親子の繋がりとがシンクロする。勝利の瞬間までを描かず、未来のデータとしてさりげなく掲げる構成が心憎い。(276/1000)

お茶の水博士太郎

WOWOWで葉加瀬太郎のコンサートを観ていたら、俄然生で聴いてみたくなった。すると画面で今年のコンサートの日程と募集をしているではないか。念のため細君に打診しても気のない返事だったが、強引に申し込んでみたらスイスイと受付してもらえ4月に行くことになった。なんでも突然予定を入れるんだからと細君から厳しい指摘を受けながらも、残された余生を考えるとこれも仕方ないと諦めてもらうしかない。

いのちの連関

竹藪の根っこが地下でみなつながっているように生命もみなつながっていると思えばいいのか。死期を目前にした立花隆が行き着いた知の究極は永遠だ。家族も友人も果ては人類さえみな命の連関の中に存在すると考えれば、やさしくなれるし個の限界も超えられる。進化の一部、大いなる時間の流れの中の一部として存在を捉えよう。

湖上の舞

秀吉に水攻めに遭って降伏した高松城を中心にした物語だ。小早川から目付として送り込まれていた川名佐吉が城内で起きた暗殺事件を解明していく。城主だった清水宗治のことだけが歴史に名を刻んだように思われがちだが、家臣団に目を向けると人間らしい営みが見えて面白い。こんな作家もいたのがうれしい。(275/1000)

連鎖

タイトルからして犯罪に連なる関係者は芋蔓式に炙り出されてくるだろうと予想はできたが、ここまで錯綜すると最後の最後は何が何だかわからなくなる。食品Gメン、検疫、ココム等々未知の世界について未知の視点で推理する愉しさは得られる。450頁はズシリと重いが、この作者の丹念な筆力には相応しい。(274/1000)

眠狂四郎異端状

年明け一冊目は柴田錬三郎からだ。作者も代表作の主人公もあまりにも有名だが初めて手に取った。600ページの大部なのに息つく間もなく読ませるのは円月殺法のなせる技かと思えるほど没入できる。江戸から中国沿海へ舞台を転じながら繰り広げられる冒険活劇は一度は手に取ってみるのもいい。(273/1000)

自摸三百五百

日清食品の麻雀牌が欲しくて年末に応募したのですが、果たして当選するかどうかが今年最初の運試しというのも西雀荘の主人にふさわしいかもしれません。萬子が麺子になっていたり、筒子はどん兵衛、索子は縮れ麺などなど。こんな風に麻雀を愉しむように今年も一年多いに楽しみたいものです。どうぞよろしくお願いします。