スキップしてメイン コンテンツに移動

グッドバイ

これまたこの作者の力量を遺憾なく発揮した作品だ。幕末から明治の長崎で茶葉の輸出に先鞭をつけ、坂本龍馬や大隈重信、岩崎弥太郎等の面倒をみた希代の女傑大浦慶の生涯だ。逆境にあっても不屈の精神で乗り越え、時代の変化や同時代に生きた人々へ「グッドバイ」とさりげなく告げられる爽やかさ。終盤は涙腺が弛むのを覚悟して読んでほしい。(224/1000)



コメント

このブログの人気の投稿

迷路 (上)(下)

戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000)

罪の声

ようやく5年半をかけて500冊に到達した。区切りの一冊は映画化された同書だが、映画とは細部が微妙に異なるだけでなく、文字から伝わる感動はまた別物だ。グリコ森永事件の真相を独自解釈した構想も壮大だが、なんといっても加害者側に組み込まれた子供たちの運命に焦点を当てた作者の視点が作品に普遍性を与えている。(500/1000)

ながい坂 (上)(下)

これが正しいという信念にとらわれると、目も耳もそのほうへ偏向し、「正しい」という固執のため逆に、判断がかたよってしまう。1,000頁を越えるこの本から何度も同様の警句を読み取りながら、相変わらず正義感に走ろうとする己を律しきれないのが歯がゆい。人間とは己の分を守ってその能力を遺憾なく果たしていきたいものだ。(494/1000)