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1月, 2026の投稿を表示しています

白石城死守

全6編の作品集だが、全てが作者らしい慥かな洞察と温かい視座で描かれている。『菊屋敷』で語られた「子供は養育するのではない。自分が子供から養育されるのだ。それが子育ての根本だ。」との箴言には今更ながら目を開かされる。斎東与茂七。笠折半九郎。浜田治部介。夏目図書。矢押梶之助。黒川志保。全ての主人公に物語が寄り添っている。(532/1000)

殺し屋の営業術

江戸川乱歩賞とは、また気づかない分野だった。時代小説主体の読書の旅にまたひとつ目的地が加わったようで楽しい。流石に評判を呼んだ小説だけに、最後の最後の大どんでん返しが愉快だ。現役時代、営業には一廉の自信を持っていた自分だからそこ、主人公の巧みだが反面ちょっと空虚な営業魂に共感を抱けるところがまた嬉しい。(531/1000)

カナリア恋唄

こんな素晴らしい作家に巡り会えて、それが読書の醍醐味だと大啖呵を切ったあとに、まさか本作がこの作家の遺作であったと知るとは。2015年62歳でこの世を去っていたという。つまりこれ以上彼女の作品は読めないのだ。人生とは須臾の間だと登場人物に奇しくも語らせた如くに、彼女は風のようにこの世から去ってしまったのだった。なんと残念なことだろう。(530/1000)

起き姫

もうさすがという他ない。「起き上がり小法師」のことを言うのだそうだが、さまざま苦難に遭遇しても立ち上がる「起き姫」に象徴されるストーリーは圧巻だ。人と人とを紡ぐ主人公の口入れ屋家業が、あたかも本と人とを繋ぐ縁に準えられる気がするのはあながち的外れでもなさそうだ。読書の醍醐味ここにありだ。(529/1000)

東京影同心

新年最初の読書は、このところ集中して手に取っている杉本章子の時代小説だ。今回は、江戸から明治に移る苛烈な時代を同心、影同心として役目を果たす男の痛快活劇だ。まさに正月に読むにふさわしい一冊かもしれない。さあ、今年は果たして何冊読めることだろう。(528/1000)