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火の鳥 大地編(上)(下)

手塚治虫の遺稿の一部を手掛かりに構想された「大地編」だというので、「火の鳥」の愛読者として読まないわけにはいかなかった。繰り返される時間の巻き戻しが果たして近代日本の実像を活写し、問題提起するものがあったのかと問われれば残念ながら筆者の構想力を期待外れと言わざるを得ないだろう。内面と歴史的事実との相克を超えるには天才に頼るしかないということか。



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迷路 (上)(下)

戦前の昭和11年に「黒い行列」として刊行され、戦時色の推移により中断、戦後の昭和31年に「迷路」として完成した1,200頁に及ぶ大作だ。岩波文庫らしく書き出しは難読だが、読み進むにつれファシズムに向かう時代の狂気や青年の心の彷徨、権力者たちのエゴイズムが大団円として描かれる。すごい作家がいたものだ。(495/1000)

罪の声

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ながい坂 (上)(下)

これが正しいという信念にとらわれると、目も耳もそのほうへ偏向し、「正しい」という固執のため逆に、判断がかたよってしまう。1,000頁を越えるこの本から何度も同様の警句を読み取りながら、相変わらず正義感に走ろうとする己を律しきれないのが歯がゆい。人間とは己の分を守ってその能力を遺憾なく果たしていきたいものだ。(494/1000)